36: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/17(土) 16:10:41.66 ID:Lud+ZHkk0
かすみちゃんに押し倒される形で、前に倒れこむ──と同時に、私の頭の上を火の玉が通過していった。
ハッとして顔を上げると──せつ菜ちゃんの奥に、もう一人いることにやっと気付く。
モデルのような長身に、ウルフカットの青髪……確かあの人は……。
侑「果林、さん……?」
リナ『二人とも、大丈夫!?』 || ? ᆷ ! ||
侑「う、うん……」
かすみ「ちょっとぉ!! 危ないじゃないですか!? どういうつもりですか!!」
果林さんの横には、キュウコンの姿。おそらく今の火の玉はあのキュウコンの攻撃だ。
果林「せつ菜、行きなさい」
せつ菜「……はい」
かすみ「無視しないでくださいよっ!!」
せつ菜ちゃんは果林さんの言葉に頷くと、今度こそ千歌さんを背負い上げ、歩き出す。
その先には──得体の知れない、空間にあいた穴のようなものがあった。
侑「待って、せつ菜ちゃん!! どこに行くの!? 千歌さんをどうする気!?」
せつ菜「…………」
実際に見ていたわけじゃない。だけど、あんな風にボロボロになっている千歌さんを見たら──全うなバトルをした結果じゃないことなんて、見ればすぐにわかった。
せつ菜ちゃんは千歌さんを誰よりも尊敬していたことを私は知っている。なのに、せつ菜ちゃんが千歌さんをあんな風に傷つけたなんて、信じられなくて、
侑「ねぇ、なんでこんなことするの……!?」
せつ菜「…………」
侑「せつ菜ちゃん……!! 答えてよ……!!」
せつ菜「…………」
侑「……っ……──いつものせつ菜ちゃんだったら、こんなこと絶対しないじゃん……っ!!」
私は叫んでいた。
これは何かの間違いなんだって。いつもみたいに無邪気な笑顔で周りも元気にしてくれて……それでいて誰よりも頼りになる、私の憧れのせつ菜ちゃんに戻って欲しくて。
──叫んだ。
だけど、せつ菜ちゃんは──私を氷のような瞳で一瞥したあと、
せつ菜「貴方なんかに──私の気持ちは、理解出来ませんよ……」
そう吐き捨て──空間の穴の中へと消えていった。
侑「せつ菜……ちゃん……」
「ブィ…」
果林「ふふ、残念。貴方の声、届かなかったわね」
侑「……っ!」
私は果林さんを睨みつける。
果林「あら、怖い……招かれざる客なのに。……いいえ、この場合──開いた口へ牡丹餅……かしら?」
果林さんがそう言うのとほぼ同時に、
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