280: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/25(日) 10:24:58.08 ID:PfMOWZim0
善子「今、酔い止め作ってあげるから、少し待ってなさい」
そう言いながら、ヨハネ博士はバッグから、何かの植物とすりこぎを取り出して、植物の葉っぱをすりこぎで潰し始める。
侑「ここで……作るん、ですか……?」
善子「ええ、良く効くわよ」
侑「そんなものも……つくれるん、ですね……」
善子「ポケモンと漢方の歴史って意外と古いからね。いろいろ調べてるうちに作れるようになったのよ。人とポケモンどっちにも効くのがあるからね。……っと、よし」
ヨハネ博士はすり潰した葉っぱを水筒の水に溶かして、私に差し出してくる。
善子「一口で飲み切りなさい。じゃないと、死ぬほどまずいせいで、飲み干せないと思うから」
侑「は、はい……」
受け取って、一思いに一気に飲み下す。
侑「ぅ、ぐぅぅぅ……!?」
味は……ヨハネ博士が言ったとおり最悪だった。
苦みやら、えぐみやらが、これでもかと言わんばかりに襲ってくる。
善子「よしよし、よく飲んだ。偉いわよ、侑」
侑「……こ゛れ゛……人が飲ん゛で、いいも゛の゛な゛んです゛か……っ……?」
とてもじゃないけど、人間が口にしていい味だとは思えない。
善子「良薬口に苦しよ。口に残る味もそのうち消えるから我慢しなさい」
侑「は゛い゛……か゛ん゛は゛り゛ま゛す……っ……」
史上最悪の後味に耐えながら、呼吸を整えていると──だんだん口に残っていた味が落ち着いてくる。
それと同時に──
侑「…………あれ……」
さっきまでの気持ち悪さが、随分と軽くなっていることに気付く。
善子「……かなり楽になったでしょ?」
侑「は、はい……」
善子「コノハナの抜けた葉を乾燥させたものと、タマゲタケの“キノコのほうし”を培養した菌体、ポポッコの花びらから作った漢方薬よ。……よくこんなの見つけるわよね。人とポケモンの歴史は偉大だわ……」
侑「ポケモンから貰った植物だったんですね」
リナ『すごい……そんな情報、私のデータベースにもないのに……』 || ╹ᇫ╹ ||
ふわふわと私の近くに来ながら、リナちゃんがそんなことを言う。
善子「この辺の知識はデータベースになってないものも多いからね。研究は自分の手と足と頭と……五感全部を使ってするものなのよ」
リナ『勉強になる』 || > ◡ < ||
侑「ヨハネ博士……やっぱり、すごいです……」
善子「ふふ、好きなだけ褒めるといいわ」
ヨハネ博士は優しく笑いながら、私の頭を撫でてくれる。
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