182: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/21(水) 15:15:17.54 ID:/nLmInIK0
私たちは一刻も早く空腹を満たすためにも、野営の準備に取り掛かるのだった。
🎹 🎹 🎹
侑「……ねぇ、かすみちゃん」
かすみ「なんですか?」
お湯を入れるだけで作れるポタージュを飲みながら、かすみちゃんが小首を傾げる。
侑「強い人って……どんなこと考えてるか、わかる……?」
かすみ「んー? ……うーん……もっと強くなるぞーとか? ……正直、よくわかんないですね」
侑「あはは、そうだよね。私も……よくわかんない……。……わかって、あげられなかった……」
かすみ「……もしかして、せつ菜先輩に言われたこと……気にしてるんですか……?」
侑「うん……ちょっとね……」
遺跡でせつ菜ちゃん言われたこと──『貴方なんかに──私の気持ちは、理解出来ませんよ……』──
侑「せつ菜ちゃん……すごく苦しそうだった……。……だから、ずっと考えてたんだ……だけど、わからなかった……」
かすみ「……せつ菜先輩って……菜々先輩なんですよね」
侑「……みたいだね。……会議でその話を聞いたときは、びっくりした……」
かすみ「かすみんもです……。でも、菜々先輩がせつ菜先輩だったってことは……かすみんたちには想像出来ないくらい、大変なことがあったんじゃないかなって思うんです……」
侑「……そうだね」
親に旅立ちを許してもらえなかった菜々さんが……せつ菜ちゃんとして、この地方のチャンピオンに迫る実力を得るまでに、一体どれだけの苦労と、苦悩があったのか……私には想像も出来ない。
かすみ「かすみんたちは……選ばれて、図鑑も、最初のポケモンも貰って旅に出れましたけど……せつ菜先輩が実は菜々先輩だったって知った途端……せつ菜先輩にとって、かすみんたちってすっごく恵まれた人たちに見えてたんじゃないかなって思うようになりました……」
侑「……うん」
私たちはなんとなく、最初のパートナーに目を向ける。
「ブイ…?」
「カイン」
私のイーブイに関しては、博士に貰ったポケモンではないけど……。
かすみ「たぶん……そういう羨ましいー! って気持ちとか、なんであの人は貰ってるのにー! って気持ちが一度出てきちゃうと、悔しくて悔しくて、仕方なくなっちゃうんじゃないかなって……少なくともかすみんが同じ立場だったら、すっごく悔しいです」
今考えてみればだけど……その悔しさみたいなものは、せつ菜ちゃんの手持ちにも反映されていた。
侑「……せつ菜ちゃんが手持ちを5匹しか持ってなかったのは……そういうことだよね……」
せつ菜ちゃんにとって……最後の1匹──いや、最初の1匹は……ヨハネ博士から貰うはずのポケモンだったんだ。
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