178: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/21(水) 15:12:28.62 ID:/nLmInIK0
海未「本日は、菜々さんについて……ご説明しなくてはいけないことがあって、参りました」
菜々母「菜々の……?」
海未「結論から言うと、菜々さんは……とある事件に巻き込まれていて……今現在、犯罪組織の人間と一緒にいるそうです……」
菜々母「え……」
真姫「それについて、私から説明させてもらってもいいかしら……」
真姫がそう切り出す。
真姫「まず……菜々が、ポケモントレーナーであることは……ご存じですよね。私がポケモンを持たせたことも……」
菜々父「……はい。存じております」
菜々母「主人から、話は伺っています……菜々はチャンピオンになると言って……飛び出して行ってしまったと……」
真姫「菜々は……焦ってチャンピオンに挑み……敗北したそうです」
真姫は伏し目がちに言いながら、言葉を続ける。
真姫「そして……敗北で弱っているところを……その組織の人間に唆されて……付いていってしまった……」
菜々母「そ、その犯罪組織というのは……」
海未「詳しくは調査中ですが……この地方の平和を脅かす存在なのは間違いありません。……少なくとも、善人ではないです……」
菜々母「そん、な……」
菜々の母親の顔色が一気に青ざめる。
真姫「菜々は……すぐにでも強くなるための力を欲するあまり……より強いポケモンを受け取るのを条件に……その組織の人間に……付いていってしまいました」
真姫の言葉を聞いて、
菜々父「…………私が……あんな言い方をしてしまったからか……」
菜々の父親は顔を両手で覆いながら、肩を落とす。
真姫「今回、このような問題を起こしてしまったのは……私の責任です。ご両親が反対しているのを知っていながら、菜々にポケモンを持たせたのは私ですし……その上で、彼女をしっかりと見てあげられなかった。……本当に申し訳ありません」
真姫は立ち上がり、深々と頭を下げる。
菜々父「…………」
菜々母「……な、菜々は……娘は……どうなるんでしょうか……?」
海未「もちろん……リーグが責任を持って連れ戻します」
菜々母「そう……ですか……」
私の言葉を聞いて、菜々の母親は可哀想なくらい気落ちしているのが一目でわかった。
……一人娘が、悪人たちに付いて行ってしまったなんて聞かされたら当然だろう。
だが、母親以上に──
菜々父「………………」
父親の狼狽振りの方が酷かった。
この事態が起こる直前に、菜々と話をしたというのは真姫から聞いている。
その内容も凡その予想が付いていて……そのときに菜々とした会話が、今回の引き金になったという想いがあるのかもしれない。
あまりの気落ち振りに──
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