170: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/21(水) 15:05:33.16 ID:/nLmInIK0
ぽつりぽつりと喋り始めた。
エマ「……彼方ちゃんも」
彼方「ん……」
エマ「……果林ちゃんも、彼方ちゃんも……遥ちゃんもだけど……会ったときから、全然変わらないから……」
海未「全然変わらない……とは……?」
エマ「見た目が……全然変わらないんです」
海未「見た目が、変わらない……?」
彼方「えっと……わたしがこっちに落ちてきたのは18歳のときで……遥ちゃんは16歳だったんだけど……。……実は彼方ちゃんたち、歳を取ってないんだって」
海未「……それは本当ですか?」
彼方「原因はわからないんだけど……ウルトラスペースから過剰にエネルギーを浴びたのが原因で、身体の時間が一時的に止まってるんじゃないかって説明されたよ」
生き物は生まれてから死ぬまでに、たくさんたくさんエネルギーを使って、最後は死んでいくけど……。
そのエネルギーの消費が、ウルトラスペースから異常なエネルギーを浴びたせいで、極端に遅くなっているから、彼方ちゃんたちは歳を取らないように見えるらしい。
……国際警察の科学捜査部の人は、細胞分裂……? とか、テロメアの減り具合……? とか言ってたけど……彼方ちゃんには難しいことはわからないから、これ以上の説明は出来ないけど……。
海未「……歳を取らないというのは……不老ということですか……?」
彼方「うぅん。揺り戻しがあるから、何年かしたら止まってた年月分、一気に歳を取り始めるみたい。今までも“Fall”の中にはそういう人がいたらしいから」
海未「なるほど……。エマさんは、それに気付いていたんですね……?」
エマ「はい……ただ……本人が隠してるのには気付いてたし……無理に聞くのはよくないって思ったから、わたしが知ってることは、あまり……」
海未「……そうですか……」
まあ、果林ちゃんも……いくら仲が良いからって、うっかりエマちゃんに喋っちゃうような人とは思えないからなぁ……。
エマ「……果林ちゃん……ずっと、何かに追い詰められているというか……いつも焦ってるなって……ずっと思ってました……」
彼方「…………」
璃奈ちゃんが亡くなって、愛ちゃんが問題を起こし、わたしが組織から逃げ出してしまった……。
4人居た組織の幹部は……実質、果林ちゃんしか残らなかった。
果林ちゃんは自分たちの世界を救いたいという想いが、人一倍ある人だったから……その責任感から、必要以上に背負いこんでしまった節はあるのかもしれない。
エマ「……冷たく突き放したようなことを言うことはあるけど……本当は優しい人なんです……。……可愛い物やポケモンが大好きで、実はお寝坊さんで、すぐ迷子になっちゃって……でも、わたしが困ってたら助けてくれて……」
彼方「エマちゃん……」
辛そうに喋るエマちゃんを見ていると、エマちゃんは本当に果林ちゃんを大切に想っていたことが、それだけで伝わってきた。
エマ「……あの……もし果林ちゃんを見つけたら……どうするんですか……?」
海未「……彼女の正確な目的がわからないので、完璧に答えるのは難しいですが……恐らく、彼女の身柄確保を目指して動くことになると思います。ですが、相手の力は強大です……極力避けたいですが、場合によっては──」
海未ちゃんはそこで言葉を止める。……恐らく、そういうことだと思う。
捕まえる余裕があるとは、考えづらいもんね……。
エマ「……。……話し合いで……解決出来ませんか……?」
海未「もちろん、それが理想ですが……。……向こうは人に危害を加えることに躊躇がない。そういう相手を説得出来るかと言われると……」
エマ「……そう……ですよね……」
エマちゃんはぎゅっと手を握る。
791Res/1707.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20