165: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/21(水) 15:02:15.38 ID:/nLmInIK0
かすみちゃんが盛大に目を泳がせる。
欠点、そんなにないんじゃなかったの……かすみちゃん……。
果南「試合ではお互い最初から使うポケモンが決まってるから、使いどころを間違わなければ状況をひっくり返す技なのは確かだよ。でも、実戦はそうじゃない。相手の数だって決まってないし、もしかしたら連戦しなくちゃいけないかもしれない。場合によっては撤退を余儀なくされることもある。そういうときに手持ちが減るっていうのは致命傷になりかねない」
かすみ「…………」
果南「逆転する力、ポテンシャルとバトルに対するひらめきはかすみちゃんの長所だけど……逆を言うなら、戦闘が無計画すぎるところがある」
かすみ「…………ぐすっ……じ、自分でもわかってるもん……それくらい……」
彼方「ほら、泣かない泣かない」
かすみ「泣いてませんっ!」
果南さんの評価は思ったよりも厳しめだった。
でも……的は射ている気がする。
とはいえ、面と向かって厳しい評価を下されるのは、なかなかに堪えるものだと思う。
果南「……次は侑ちゃんだけど」
侑「は、はい……!」
私の番が来て、思わず背筋が伸びる。
かすみちゃんへの評価を聞いた直後というのもあるけど……元チャンピオンから自分のバトルを評価してもらえるというのは、またとない機会だから、変に緊張してしまう。
果南「まず、持久戦への崩しが苦手すぎる」
侑「……ぅ……じ、自覚してます……」
彼方「でも、こればっかりは相性もあるからね〜……」
果南「まあね。ただ、守られたときに攻撃がうまく通らないことで焦る癖は直した方がいいよ。防御に対しては相手にしないのも一つの戦術なんだから」
侑「は、はい……」
果南「あともう一つ……こっちの方が問題かな」
まだあるんだ……。
果南「侑ちゃんは、諦めが早すぎる」
侑「そ、そうですか……?」
果南「自分の負け筋が見えすぎてるというか……相手の勝ち筋が見えすぎてるというか……相手のやりたいことが見えすぎてるせいで、劣勢になると相手の勢いに呑まれちゃうところがあるんじゃないかな」
侑「…………そう言われると……ちょっと、思い当たる節があります……」
実際、直近の試合でも、ホシゾラジム戦では歩夢が声を掛けてくれなかったら雰囲気に呑まれていたところはあったし、クロユリジムでもワシボンが止めてくれなかったら、私は降参していた。
そして、今日のローズジム戦でも……最後まで諦めなかったのはかすみちゃんだ。私は……一人だったら、途中で諦めていたと思う。
果南「戦局を見る力があるとは思う。もちろん、それは実戦ですごく大事だし、引きどころを間違えないという意味では長所にもなるけど……絶対に負けられない戦いの場では──考え方の癖って言うのかな……それは絶対に侑ちゃんの足を引っ張ることになるよ」
侑「……はい」
つまるところ……私には引き癖というか……劣勢になると、考えるのを諦めてしまう癖みたいなものがあるようだ。
特に私たちがこれから挑む戦いは、絶対に負けが許されない戦い……そこで、もう勝てないかもなんて思ってたら、本当に負けてしまう。
リナ『でも、考え方をすぐに矯正するのは難しい』 || ╹ᇫ╹ ||
果南「そうだね。……でも、いざ実戦のときに、直りませんでした。じゃあ、困るでしょ?」
侑「……はい」
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