侑「ポケットモンスター虹ヶ咲!」 Part2
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138: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/20(火) 12:51:59.69 ID:B+X5AS2s0

相手は……私たちの心を折りに来ていた。

考えてみればこのバトル──私たちの敗北条件は私たちトレーナーが戦闘続行が出来なくなることだ。

でもそれは裏を返せば、1匹でもポケモンを残して諦めずに逃げ回れば、いつまで経っても戦闘は終わらないという意味でもある。

だから、真姫さんは……最初から心を折ることで、諦めさせることで勝利しようとしていた。

いや、バトルの中だけの話じゃない──そうしないと、私たちは歩夢たちを助けることを諦めたりしないってわかってるから。


侑「…………」


ダメ……なのかな……。……私たちじゃ……やっぱり、届かない……。

そう思い、諦めかけた、そのとき──


かすみ「──ヤブクロン」
 「ブクロン」


かすみちゃんがヤブクロンをボールから出した。


かすみ「“どくガス”!!」
 「ブクローー!!!!」


ヤブクロンは一気に“どくガス”を吐き出し── 一気に周囲に充満していく。


真姫「“どくガス”……? はがねタイプには効かないわよ」

かすみ「ありったけの“どくガス”吐き出して……!! げほっ……!! 今体内にある毒全部使っていいから……!! げほっ、ごほっ……!!」


かすみちゃんはヤブクロンに指示を出しながら、口元にハンカチを当て、咳き込んでいる。


侑「かすみちゃん……!? 何を……ごほっ、げほっ!!」

かすみ「侑先輩……げほっ、げほっ……!! あんま、喋っちゃ、げほっ! ダメです……! “どくガス”、吸い込んじゃいます……げほっ……!!」

真姫「まさか……捨て身の“どくガス”でトレーナーを気絶させるつもり……!?」


真姫さんもハンカチを取り出して、口元を覆う。


かすみ「さぁ……根比べですよ……!! げほっ、げほっ……!!」

真姫「……ここまで、馬鹿な子だと思わなかった……!! キリキザン!! ニャイキング!!」
 「キザンッ!!!」「ニ゙ャァ゙ァ!!!」


キリキザンとニャイキングがヤブクロンを止めようと飛び出してくる。


かすみ「サニーゴ!! キリキザンに“かなしばり”!! げほっ……! テブ、リムッ!! ニャイキングに“サイコショック”……!! ごほっごほっ!!」
 「サ……」「テブ…ッ!!!」

 「キザンッ!!!?」「ニ゙ャァ゙ァ…!!?」


キリキザンをその場で縛り付け、ニャイキングを牽制する。


かすみ「どう、したんです、か……げほっげほっ……指示が雑に、なってます、よ……!! げほっごほっ!!」

真姫「っ……こんな馬鹿なこと、げほっ……! 今すぐ、やめなさい……っ!! こんなことしても、貴方たちは、勝てない……げほっ……!」

かすみ「いーや……!! これは、げほっげほっ……! 勝ちへの、一歩です……っ……げほっ……!」


気付けば周囲には完全に“どくガス”が充満しきり、あまりの濃度のせいか、霧がかって見えるほどだ。


かすみ「げほっ、げほげほっごほっ……!!」

侑「かすみちゃん……っ……!! もう、やめよう……!! このままじゃ、かすみちゃんが……っ……げほっげほっ……」



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