11: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/16(金) 03:04:58.75 ID:eLOLjL7n0
身体が……重い……。
気付けば吐く息は真っ白で──私の肩に、膝に、腕に、霜が降りている。
しずく「や、やっぱり……なに、か……へ、ん……」
「ク、クマ…」
──急激に気温が下がって、空気を吸い込むたびに肺が痛くて、苦しくなってくる。
熱を奪われ、身体がどんどん動かなくなっていく。
しずく「……ぐ……」
急激な寒さに、思考もどんどん重くなっていく。
しずく「だ、めだ……!!」
「クマ…」
考えを止めちゃダメだ──これは明らかに異常だ。
寒くて、身体の動きがどんどん鈍くなっていく中──私はゆっくり首を動かしながら、周囲の様子を伺う。
すると──私の周囲に……何か、キラキラしたようなものが舞っていることに気付いた。
それは、谷底に僅かに差し込む光を反射して、ささやかにその存在を主張している。
まさか──
しずく「細氷……?」
細氷──即ち、ダイヤモンドダストと呼ばれる現象だ。
大気中の水蒸気が氷結する現象。だけど、細氷の発生条件は氷点下10℃以下でないと発生しないと言われている。
急に、ここの気温が下がった。ここは確かに寒い場所だけど、そこまで急に起こるとは考えづらい。なら──
しずく「外的要因で空気が冷却されている……!」
私は、寒くて震える腕に力を込めて──ボールベルトのボールの開閉ボタンを押し込んだ。
「──カァァーーー!!!!!」
しずく「アオガラス……っ、“きりばらい”……っ」
「カァァァァァ!!!!!」
アオガラスが、周囲の冷たい空気を吹き飛ばす。
すると──すぐに体感でわかるくらいに、気温が上がるのが肌で感じられた。
しずく「やっぱり……! 私たちの周辺の空気だけ、気温が下げられてた……!」
「クマ…」
何かわからないけど──目に見えない敵がいる……!
しずく「逃げなきゃ……!!」
私が走り出そうとした瞬間、
しずく「きゃっ!?」
私は前につんのめって転んでしまう。
しずく「こ、今度は何が……!?」
791Res/1707.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20