10: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/16(金) 03:03:08.17 ID:eLOLjL7n0
ツンベアーが苦悶の声をあげる。
恐らく、脚の骨が折れている……。しかもこの高さ……折れているのは脚だけじゃないかもしれない。だから、ここから動けないんだ……。
しずく「どうして、私を庇ったりなんか……」
「ベァァ…」
私の問いにツンベアーは、
「クマ…」
首をクマシュンに向けて、答える。
しずく「私が……クマシュンを庇ったから……?」
「ベァァ…」
しずく「……ごめんなさい。そもそも、私がクマシュンを驚かせたりしなければ良かった話なのに……」
「ベァァ…」
ツンベアーはゆっくり首を振る。
しずく「……ありがとう。……貴方は絶対に私が助けます。だから、今だけでいいので……ボールに入ってくれますか……?」
「ベァ…」
弱々しく頷くツンベアー。私は頷き返して、ボールを押し当てた。
──パシュンと音を立てて、ツンベアーがボールに入る。
「クマァ…」
しずく「大丈夫。貴方もちゃんと、私がお家に返してあげますよ」
「クマァ…」
それくらいの責任は果たさなくてはいけないだろう。
とはいえ、どうしたものか……。
私は飛行の手段を持っていない。
アオガラスでは私をぶら下げたまま、“そらをとぶ”のは無理だろうし……。
しずく「……そもそも、さっきの雪崩……」
そうだ、そもそもさっきの雪崩はなんだったのだろうか……?
前兆が全くなかったというか……目の前で急に雪が襲い掛かってくるような……妙な違和感があった。
まるで、雪崩が意思を持って、私たちを狙ってきていたような……。
しずく「……さすがに考えすぎでしょうか……?」
「クマ…?」
しずく「……とりあえず、少し移動しましょうか……。もしかしたら、どこかから、上に登れるかもしれませんし……」
「クマ」
歩き出そうとして──
しずく「あ、あれ……?」
脚に力が入らず膝を突いてしまう。
しずく「な、なに……?」
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