11: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/11/25(金) 00:10:14.08 ID:YjhaJr8i0
……もし何も知らないままでいられたのなら、どれだけ幸せだったのかな。
劇場のみんなと一緒に過ごして、隣で同じ景色を見て、同じ未来へと進んでいく――それだけで私は良かった。
それなのに、私が欲しかったものは、私がどれだけ手を伸ばしたって、もう叶わない。
アルバムを閉じて、本棚に戻した。
背表紙から指が離れる瞬間、自分の体から何かが抜けていったような気がした。
私は本棚の前で立ち尽くしたまま、動けなかった。
――私は、どうしてここにいるんだろう?
私の声は誰にも届かなくて、そのまま薄暗い部屋の中で消えていった。
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