985: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/16(金) 02:12:50.44 ID:eLOLjL7n0
ワシボンは、体をひっくり返し、両足の爪を使って、どうにかメガスピアーの突撃を受け止めていた。
それも間一髪。ワシボンの目と鼻の先には針の切っ先がある。
英玲奈「だが、これで終わりだ!! “ダブルニードル”!!」
「ブーーーンッ!!!!」
メガスピアーが両腕の針をワシボンに向かって、突き立て──た、瞬間。
「ワシャァッ!!!」
ワシボンは“ダブルニードル”を足蹴にして、離脱する。
侑「ワシボン……!」
英玲奈「まだ、そんな力が残っていたか……! “みだれづき”!!」
至近で繰り出される連続攻撃だけど、
「ワシャッ!!!! ワシャァァッ!!!!」
ワシボンは爪を、翼を、嘴を振るって、針を弾く。
もちろん、そんな超近距離で猛スピードの連打を完全に捌ききることなんて不可能だ。
逸らしきれなかった針が、翼を掠めて羽根が散り、力負けした爪がひび割れ、掠った頭に傷が付く。
でも、それでも、何度も、何度も、何度も何度も何度も、どれだけ針が襲い掛かってきてもワシボンは諦めない。
ずたずたに引き裂かれても、ワシボンは戦うのをやめない。
「ワッシャァァァァァ!!!!!」
もう策なんて何一つ残ってない。もはや、ただ我武者羅に抵抗しているだけだ。
英玲奈「その気合い、嫌いじゃない──だが、戦う意思を見せるなら、こちらも攻撃を止めることは出来ないぞ!!」
「ブーンブーーーンッ!!!!!!」
「ワッシャァァァァァァァ!!!!!!!」
──見ていられなかった。私はあまりに圧倒的な力で傷つけられていくワシボンを見ていられず、
侑「もういいっ!! ワシボンっ!! これ以上、戦わなくていい!!」
そう叫んだ。
侑「英玲奈さん!! もうやめてください!! 私、降参し──」
「ワッシャァァァァァァァアァァァァァァ!!!!!!!!!!!」
侑「!?」
私の言葉を遮るように、ワシボンがジム内に劈くような、大きな声で鳴いた。
もう、ボロボロでそんな大きな声が出せるはずないのに。
なんで、そこまでするの……?
どうして、そこまでボロボロになってまで、戦ってくれるの……?
考えたけど……そんなの、簡単な話だった。
──ワシボンだって……負けたくないからに決まってんじゃん……!
「ワッシャァァァァァァ!!!!!!!!!!!」
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