899: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/12(月) 14:10:46.56 ID:ropYqdR40
そこでやっと、自分の目の前に縦穴があることに気付いたらしい。
ただイーブイは、急に視界に入ってきた奈落に驚いてしまったのか、逃げるように踵を返す。
だけど、それが却ってよくなかった。
雨が降った直後の湿った岩で──イーブイが足を滑らせた。
「ブイッ!!!?」
侑「!? イーブイ!?」
イーブイはずるりと足を滑らせて──その身が投げ出される。
もちろん──縦穴の真上に。
「ブ、ブィィィィ!!!!?」
イーブイが重力に従い、縦穴に吸い込まれていく。
侑「イーブイッ!!!」
そこからは、身体が勝手に動いていた。
リナ『侑さん!?』 || ? ᆷ ! ||
私はイーブイの落ちた縦穴に、自ら飛び込んでいた。
──風を切る音と共に、私は猛スピードで穴を真っすぐ落ちていく。
「ブ、ブイィィィ!!!!」
侑「イーブイッ!!!」
真っすぐ自由落下しながら──私は、イーブイに手を伸ばす。
空中でどうにか掴んで手繰り寄せ──そして、抱きしめる。
「ブイ、ブイィッ!!!!」
侑「っ……!!」
もちろん、イーブイを抱き寄せても、落下は終わらない。
猛スピードで、縦穴を真っすぐ落ちながら、私はイーブイをぎゅっと抱きしめる。
侑「イーブイ……! 私がいるから……!」
「ブ、ブィィッ…」
不安げに鳴くイーブイを抱きかかえたまま──私たちは奈落へと落ちていった。
🎹 🎹 🎹
「ブイィ…」
侑「……生きてる」
とんでもない高さを真っ逆さまに落ちたのに、何故か私たちは無事だった。
薄暗い空間の中で仰向けになっている私の視界のずーっと先には、小さな穴の先に夕焼け空が見える。
私たちが今しがた落ちてきた縦穴だろう。
私はゆっくりと身を起こす。
1002Res/2130.98 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20