853: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/10(土) 16:12:37.78 ID:hRdoaDre0
侑「かすみちゃん、雨具持ってないの!?」
かすみ「バッグの奥底にあって取り出せないんですぅ〜!!」
リナ『かすみちゃんは荷物を持ちすぎなんだと思う』 ||  ̄ ᇫ  ̄ ||
だから普段から、道具を持ちすぎだって言ってるのに……。
しずく「それにしても……本当に酷い雨ですね……」
レインコートを羽織っていても、靴の中に水は入り放題だし、地面の状態は最悪だ。
あまりにも雨足が強すぎて──前方を走る、かすみさんと侑先輩の姿を追いかけるのがやっとな状態。
歩夢「しずくちゃん、平気?」
しずく「は、はい……! かなり置いていかれちゃってますから、急がないとですね……」
先ほどから歩夢さんは、しきりに私に声を掛けてくれている。
恐らく……先ほどの私の様子が気になっているのだろう。
歩夢「体調が悪かったら言ってね……?」
しずく「は、はい……ありがとうございます」
面倒見が良い歩夢さんらしいなと思った。
だからこそ、先ほどのような態度を見せてしまったのは失敗だったなと反省する。
後輩が急に無口になったら心配もするだろう。
この雨を抜けたら、本当になんでもないことを伝えなくては……。
──バシャバシャと音を立てながら、ぬかるむ道をひた走る。
走り続けていると、道路の中腹を横切る河川が見えてくる。
もちろんこんな大雨の中だ。川の水はかなり増水し、茶色い濁流となっている。
気付けば、かすみさんたちは橋をすでに渡り始めていて、そろそろ向こう岸に着こうとしていた。
しずく「い、急がないと……!」
私がもたもたしていたせいで、随分遅れてしまっている。
焦り気味に、橋へと差し掛かった瞬間──ミシっという嫌な音がした。
直後、視界がガクンと揺れる。
しずく「っ!?」
この大雨によって──橋が、壊れた。
急なことに、なすすべもなく私は濁流に投げ出される。
歩夢「──しずくちゃん……!!」
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