侑「ポケットモンスター虹ヶ咲!」
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834: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/09(金) 12:39:08.63 ID:9oar5n900

真姫「ふふ、やっと笑った」

菜々「え……?」

真姫「貴方……ずっと、この世の終わりみたいな顔しながら、バトルを見ていたから……」

菜々「……私……そんな顔をしていましたか……?」

真姫「ええ。絶望の底にいるみたいだったわよ」

菜々「そう……ですか……」


私の言葉を聞くと、少女は俯いて、再びしゅんとしてしまう。


真姫「……ポケモントレーナーになっちゃいけないって、どういうことか聞いてもいい?」

菜々「…………」


少女は少し迷ったあと、


菜々「……私……本当は旅に出たかったんです……」


ぽつりぽつりと話し始めた。


菜々「……博士と、最初のポケモンと……ポケモン図鑑を貰う約束までして……。……博士もそれを喜んでくれて……歓迎してくれて……。……でも……結局、親に反対されちゃって……」

真姫「……ダメになっちゃったのね」

菜々「……はい」

真姫「親御さんには貴方の気持ちは伝えたの?」

菜々「……取り付く島もありませんでした。……私の気持ちは……関係ないって……聞いてすらくれませんでした……」

真姫「…………」


どこかで聞いたような話だった。

親が全て判断して、親が全てを決めて、こちらの意思も、言葉も、全て無視されて。

所詮、子供言うことだとあしらわれて。大切に扱ってもらえなくて。


菜々「……私のお父さん……小さい頃にポケモンに襲われて大怪我をしたことがあるそうです……。……そのときに、お父さんのお母さん──私のお祖母さんは、お父さんを庇って……もっと酷い大怪我をして……それが原因で亡くなってしまったそうです……」

真姫「……だから、ローズに住んでいるのね」

菜々「……はい」


この街に住んでいれば、ポケモンに襲われる可能性は格段に減る。

実際、それが目的でここに移住している人は多いし。


菜々「私……もう15歳なのに、最近になるまで、ほとんどポケモンを見たことすらなかったんです……。両親がずっと……私からポケモンを遠ざけていたんだって……最近になってやっと気付いて……」

真姫「なら……どうやってポケモンバトルを好きになったの?」

菜々「……助けてもらったんです。ある日突然、野生のポケモンが街中に現れて……襲われたときに、ポケモントレーナーの方が助けてくれたんです。あまりに急なことだったので……助けてくれたトレーナーの方の顔もよく覚えてないのですが……」


恐らく、グレイブ団事変のときのことだろう。あのときは多くの人が野生のポケモンに襲われたし、私も数えきれない人数を保護した記憶がある。

もしかしたら、この子もそんな人たちの中の一人だったのかもしれない。



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