侑「ポケットモンスター虹ヶ咲!」
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732: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/04(日) 12:18:30.28 ID:iC9FggQ30

しずく「今向かおうって言ったばっかでしょ……」

かすみ「だって、ホントだったら、今頃自転車でスイスイだったんだよ!? そう考えたら、足が重く……もう一歩も動けない〜……」

しずく「はぁ……もう、そんなことばっかり言ってると、置いてくよ?」
 「カァカァ」


溜め息交じりに、振り返って歩き出そうとしたとき、


 「──ガドーン」

しずく「……!?」


そいつは気付けば、目の前に、居た。

パステルカラーで彩られた細長い体躯に真ん丸の頭の異形。

突然のことに身体が固まる。


かすみ「しず子っ!! こっちっ!!」


だが、かすみさんの反応は早かった。

呆気に取られて動けなくなってしまった私の手を、強引に引いて走り出す。


しずく「きゃっ……!?」

かすみ「足ぃ!! 動かしてぇ!! とにかく走ってぇ!!」
 「ガゥガゥ!!!!」


足がもつれて転びそうになるけど、どうにか踏ん張って走り出す。

全速力で走りながら、やっと少しずつ頭が回り出す。

あれは──あの異様な雰囲気のポケモンは……!


しずく「ウルトラビースト……っ……! 確か、名前はズガドーン……!!」

かすみ「なんで名前知ってんの!?」

しずく「遥さんに、ウルトラビーストのデータをいくつか見せてもらったんだよ! その中にいたウルトラビースト!」


ズガドーンは、その場から動こうとしないが──その周囲に紫の炎がポポポッと出現する。


 「ガドーン」

かすみ「なんかしてくる!? しず子伏せてっ!!」
 「ガゥッ!!!」

しずく「きゃっ!?」


かすみさんが覆いかぶさるようにして、私を地面に押し倒す。

その上を、紫の色の炎──“マジカルフレイム”が素通りする。


かすみ「あ、あちちっ!?」

しずく「かすみさん!?」

かすみ「だ、大丈夫……! ちょっと熱かっただけ……!」


掠ってすらいないはずなのに、とてつもない熱気を感じる。

それが相手の攻撃の威力を物語っていた。

──絶対に勝てない。とにかく、逃げなきゃ……!



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