716: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/03(土) 12:08:31.76 ID:ogLreJcM0
ぼんやりと目を覚ますと──
「シャボッ!!!」「ピピィ!!」
サスケとピィが私の顔を覗き込んでいた。
歩夢「……サスケ……ピィ……」
「シャーボッ」「ピィ」
歩夢「……私……生きてる……?」
ゆっくりと身を起こす。
まだ、ぼんやりしている頭のまま、周囲を見回すと──洞窟の中のような場所にいた。
でも、ただの洞窟というわけではなく……灯りがある。
壁に火の灯った松明が掛けられていて、お陰で視界が確保されていた。
それに、私が寝ていた場所も……平たい岩の上に藁が敷き詰められていて……寝床のような状態になっていた。
歩夢「ここ……どこ……?」
私……崖から落ちたんだよね……?
キョロキョロと周囲を見回していると──
「──……目を覚まされたんですね」
背後から声を掛けられて、振り返る。
そこには、見たことのないデザインの和装──民族衣装かな──を身に纏い、やや緑掛かった黒髪をボブカットにし、左側を髪飾りで留めている女の子の姿があった。
歩夢「あなたが、助けてくれたの……?」
女の子「いえ、助けたのは、そこのピィですよ」
歩夢「え……?」
女の子「その子が、貴方をここに連れて来たんです」
歩夢「どういうこと……?」
まさか、ピィが私を持ち上げてここまで運んできた……とか……?
疑問が顔に出ていたのか、女の子は、
女の子「ピィが持ち上げて運んできたわけではありませんよ」
私の心の中の疑問を正確に復唱しながら否定する。
女の子「ピィが貴方をここに導いたんです」
歩夢「導いた……? えっと、ここはどこなの……?」
女の子「ここは……そうですね。どこでもない場所です」
歩夢「……?」
いまいち話が要領を得ない気がするんだけど……。
またしても、疑問が顔に出ていたんだろう。
女の子「そうですね……強いて言うなら、“朧月の洞(おぼろづきのうろ)”と呼ばれることがあります」
女の子はそう教えてくれる。
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