710: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/03(土) 12:04:02.40 ID:ogLreJcM0
不思議な言い回しだったことに気付く。
凛「実はね、天文所が出来るよりずーーーっと前。凛が生まれるよりもずっとずっと昔から、流星山にはちょっとした伝説が残ってるんだ」
歩夢「伝説……ですか?」
凛「流れ星の夜になると、月の世界からピィが流れ星に乗って遊びに来るっていう伝説。実際、流星山の周辺でたびたびピィを見たって情報があってね……」
歩夢「じゃあ、やっぱりあれは……!」
凛「……ただね。何度調査しても、ピィは発見されてないんだ。だから、ここの所長として言うなら、ピィは生息してない……って答えになっちゃうかも」
歩夢「そんなぁ……」
凛「ただ、夢のあるお話だから、凛もいるって信じたいんだけどね」
凛さんは苦笑いする。
侑「その伝説ってピィが遊びに来るってだけのお話なんですか? それだけだと伝説って言うよりはただの噂っぽい気が……」
凛「あはは、確かにそれだけだと噂だよね。なんでも、ピィは龍神様の遣いなんだって」
侑「龍神様……?」
侑ちゃんが首を傾げる。
歩夢「龍神様ってもしかして……龍の止まり樹の龍神様ですか?」
凛「歩夢ちゃん、よく知ってるね! その龍神様だよ」
侑「え、なにそれ?」
歩夢「ほら、セキレイの南におっきな樹があるでしょ?」
侑「ああうん、大樹・音ノ木だよね。この地方のシンボル」
歩夢「そこの頂上でお休みする龍のお話、聞いたことない?」
侑「……ああ、そういえば絵本で読んだことあるかも」
私が説明すると、侑ちゃんはなんとなく思い出したようだ。
侑「龍の咆哮だよね。毎年季節になると、大樹から龍の鳴き声がするってやつ。ちょうど今くらいが季節なんじゃないっけ?」
花陽「でも、あれはメテノが衝突する音なんだよね?」
確かに私もそう教わった。昔の人はそれが龍神様の咆哮だと思い込んでいただけだったって……。
凛「うん。今ではそう言われてるね。ただ、それは別の現象なだけで、本当は実際に龍神様がいるって考えもあるんだよ」
歩夢「そうなんですか?」
凛「普段は人目に付かないところでひっそり暮らしてるんじゃないかって。……そして、そんな龍神様のもとに導いてくれるのが、ピィだって言われてるんだよ」
歩夢「じゃあ、あれは……」
凛「もしかしたら、龍神様が近くに来てて、その遣いのピィも流星山に遊びに来てるのかもしれないにゃ」
侑「ホントなら、龍神様、会ってみたいなぁ……!」
凛「でも龍神様は、怒ると怖いらしいよ〜? 怒らせると、町一つくらいだったら簡単に消し飛ばしちゃうんだって!」
リナ『随分おっかないね、龍神様……』 ||  ̄ ᇫ  ̄ ||
凛「まあ、お伽噺の一つだからね。ちょっと大袈裟に表現してるんだと思う。ホシゾラの町では、親が子供に『言うこと聞かないと龍神様が怒って出て来るぞ!』なんて言って脅かすんだよ。凛も小さい頃お母さんから、よく言われたにゃ……」
花陽「ふふっ、凛ちゃんちっちゃい頃はよくいたずらして怒られてたもんね♪」
リナ『お伽噺はあんまり私のデータにないから興味深い』 || ╹ ◡ ╹ ||
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