侑「ポケットモンスター虹ヶ咲!」
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629: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/29(火) 13:14:47.77 ID:ULDkry570

背後からはすでにジグザグマたちが飛び掛かってきていて、マネネの張ってくれた“リフレクター”も限界までは時間の問題。

どうする? 後方のジグザグマたちをどうにか倒して逃げる? ……いや、また林の中に戻っちゃったら、マッスグマから逃げられない。

左右のマッスグマを振り切るのも、かなり難しそうだし……じゃあ、目の前のタチフサグマを倒す……?

かすみんの手持ちのエース、ジュプトルでも歯が立たなかった。

ゾロアでどうにか策を考える……? サニーゴで最悪相打ちを取るとか……いやでも、そもそも相性で負けてるし……。

必死で考えるけど、この場を切り抜けるビジョンがどうにも浮かんでこない。

そんな中でも、


 「グマァッ」


タチフサグマがこちらに向かって歩を進めてくる。

絶体絶命。

もう、どうしようもない……。


かすみ「しず子……」

しずく「な、なに……?」

かすみ「かすみんがあいつに突っ込むから、その間に脇を通り抜けて林を出て」

しずく「!? だ、ダメだよ!! そんなことしたらかすみさんが……!」

かすみ「もうこれしかないの!!」

しずく「嫌!! せっかく一緒にまた旅に出られたのに、かすみさんだけおいてなんかいけない!!」

かすみ「しず子、お願いだから……!!」

しずく「嫌!! 絶対に嫌……」


しず子がぎゅっとかすみんの袖を握ってくる。

眼前にはタチフサグマが迫る。

タチフサグマが大きく息を吸ったのが見えた。

かすみんはもうダメだって思っちゃって……目を瞑った。……そのときだった、


 「グマ──」
 「──クマァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!!!!!」


タチフサグマの雄叫びをかき消すように──大きな鳴き声が響き渡った。

この声は、ずっとかすみんの聞いてきた鳴き声。


かすみ「ジグザグマ……?」
 「クマァッ!!!!」


ジグザグマはかすみんの前に立って、自分の何倍もあるタチフサグマの前で、全身の毛を逆立てながら、威嚇していた。


かすみ「何やってるんだ……私……」


何勝手に諦めてるんだ……まだ、自分のポケモンは戦う意思を失ってないのに……。


かすみ「ジグザグマ……!! やるよ!!」
 「クマァッ!!!」

しずく「かすみさん!? 無茶だよ!?」

かすみ「無茶でも、ジグザグマがやる気なんです!! “ミサイルばり”!!」
 「クママママッ!!!!!」


逆立った体毛を飛ばして、タチフサグマを攻撃する。



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