605: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/28(月) 12:19:56.61 ID:9EuEq8f90
──証明。その言葉に首を傾げる。どういう意味だろうか。
せつ菜「あ、すみません。これだけ言われても、何を証明したいのか、よくわからないですよね。えっとですね……」
せつ菜ちゃんはそう言いながら、何故か浮遊するリナちゃんに視線を向ける。
リナ『?』 || ╹ _ ╹ ||
せつ菜「……歴代のチャンピオンと言われる人には共通点があるんです」
歩夢「共通点?」
せつ菜「はい。このオトノキ地方の歴代チャンピオンは──全員がポケモン図鑑の所有者なんです」
それは初耳だ。
侑「そうなの……?」
思わず、私もリナちゃんの方を見て確認してしまう。
すると、
リナ『確かに歴史上、この地方のチャンピオンは最初のパートナーポケモンとポケモン図鑑を貰って旅に出た人しかいないみたいだね』 || ╹ᇫ╹ ||
との回答が返ってくる。せつ菜ちゃんの言う共通点というのは、事実らしい。
せつ菜「もちろん、それをずるいとは思いませんし、ポケモン図鑑やパートナーポケモンの有無が、トレーナーの強さに直結するとも思いません。実際に図鑑とパートナーを貰って旅に出るトレーナーはそれ相応の才能を認められて選ばれるものですから」
リナ『図鑑を貰う人はそもそも強くなる素質を認められて選ばれることも少なくないからね。図鑑所有者がチャンピオンになるのは、ある意味道理なのかも』 ||  ̄ ᨈ  ̄ ||
せつ菜「そうですね。……ですが、この地方にはたくさんのトレーナーがいます。その誰も彼もがポケモン図鑑と最初のパートナーを手にするチャンスがあるわけではありません」
せつ菜ちゃんは、一息吸ってから、
せつ菜「だから私は……そんなポケモン図鑑や最初のパートナーを持つ資格を得られなかった人間でも、最強の称号を手に入れられるんだと……証明したい」
そう言葉にする。はっきりと。
……ただ、その余韻のように、
せつ菜「──……そうじゃないと……私は……存在出来ないから……」
消え入るような声で、せつ菜ちゃんはそう漏らした。
侑「……え?」
せつ菜「……あ、す、すみません! 最後のは無しで……!」
侑「えっと……」
少し動揺してしまう。存在出来ないって……。
せつ菜「それくらい、私にとって強くなることは、重要だということですよ!」
リナ『それがせつ菜さんの、レゾンデートルなんだね』 || ╹ ◡ ╹ ||
侑「レゾン……?」
歩夢「存在理由って意味だよ、侑ちゃん」
侑「なるほど」
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