555: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/25(金) 14:37:53.48 ID:vdkzhBrC0
かすみ「なら……」
穂乃果「?」
かすみ「なら、ウルトラビーストに負けないくらい、かすみんが強ければいいってことじゃないですか……!!」
穂乃果「……」
かすみさんが急に机上の空論を言い出すからか、穂乃果さんも呆れて、言葉を止めてしまった。
穂乃果「…………どうしよう、確かにそれはそのとおりかも……」
──いや、違った。あれ、もしかしてこの人……実はかすみさんに近しい側の人……?
彼方「ほ、穂乃果ちゃん……重要なところで負けないでよ〜……」
穂乃果「いやでも、かすみちゃんがウルトラビーストより強ければ、確かに問題ないし……」
ま、まあ……かすみさんが強ければ解決するのは確かなんだけど……。
今、重要なのはそこじゃないような……。
かすみ「なら話は早いです!!」
かすみさんは、いそいそと荷物をまとめ始める。
しずく「かすみさん、どこに……?」
かすみ「ポケモントレーナーが強さを示すなら行く場所は一つ……! 今すぐコメコジムでジムバッジを手に入れてくるから、待ってて!!」
それだけ言うと、かすみさんは部屋を飛び出して行ってしまった。
しずく「え、あ、ちょっと待って、かすみさ──……行っちゃった……」
強さを示すのはいいにしても……ジムバッジ3個程度じゃ、穂乃果さんたちが納得する強さの証明にならないと思うんだけど……。
恐らく誰もがそう思っているだろうという中、口を開いたのは、
千歌「……少し、様子を見てもいいんじゃないかな」
ずっと黙ったまま、話を聞いていた千歌さんだった。
彼方「そういえば、千歌ちゃん……ずっと、黙ったままだったね〜……?」
千歌「あーうん……必死なかすみちゃん見てたら、なんか思い出しちゃって……」
彼方「思い出しちゃった……?」
千歌「……自分が旅をしてたときのこと。私も無茶なことたくさんしたなぁって……」
千歌さんは昔を懐かしむように言う。
千歌「そのたびに、危ない目に遭って……。それを周りの大人に反対されたこともあった。でも……それでも、ポケモンたちとそれを乗り越えてきてさ。……その先に今の私があるって思ったら……なんか、かすみちゃんの気持ち、簡単に否定出来ないなって……」
穂乃果「むー……千歌ちゃんばっかりずるいよ〜! 私だって、おんなじこと考えてたけど、今はしずくちゃんとかすみちゃんの身の安全が大事だって思って喋ってたのに……!」
千歌「ご、ごめんなさい……。でも、やっぱり、かすみちゃんの気持ち……全部無視するのは出来なくて……。……もちろん、しずくちゃんの気持ちも」
しずく「…………」
彼女たちも昔、ポケモントレーナーとして旅をして、今があるからこそ、私やかすみさんの旅に水を差すことに、思うところがあるのだろう。
……だけど、大人が大人として、私やかすみさんの身の安全を守ろうとしていることも、かすみさんが私と旅を続けられるように必死になっていることも、どちらの心情も理解出来るからこそ……私はどうすればいいのかがわからなかった。
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