554: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/25(金) 14:36:52.83 ID:vdkzhBrC0
しずく「かすみさん……もういいから。ありがとう、私は大丈夫だよ……」
かすみ「大丈夫じゃないっ!!」
しずく「かすみさん……」
かすみ「私知ってるもん!! しず子がこの旅に出るために、どれだけ勉強してたか、頑張ってたか……! 旅立ちが決まった後もいっぱいいろんな下調べして、いろんな街のこととか勉強してたのも知ってるもん!!」
しずく「それは……」
かすみ「それに……旅してる間のしず子、いっつも楽しそうだった……。新しい仲間に出会う度に、学校じゃ見たことなかったような嬉しそうな顔して……新しい景色を見るたびにワクワクしたような顔してたの……知ってるもん……」
しずく「……」
かすみ「そんなしず子が……もういいなんて、旅を諦めてもいいなんて……思ってるわけないもん……」
何か、説得する言葉を探すけど──私は言葉が出なかった。それくらい、かすみさんは私の気持ちを言い当てていた。
そんな中で、どうにか絞り出せたのは、
しずく「……子供みたいなこと……言っちゃ、ダメだよ……」
そんな弱々しい言葉だった。
かすみ「しず子のしたいことが出来なくなるのを協力するのが大人なら、かすみん子供でいいもん……」
しずく「……」
先ほどまで、説得を行っていた彼方さんや遥さんも、かすみさんの悲痛な言葉に、なんと言えばいいかわからない様子だった。
そんな中、口を開いたのは、
穂乃果「……じゃあ、かすみちゃん。聞くけどさ」
穂乃果さんだった。
穂乃果「しずくちゃんが発作を起こすところ、かすみちゃんは見たんだよね?」
かすみ「……はい」
穂乃果「……あの発作が起こるとまずいってことは、わかるよね?」
かすみ「それはわかります……でも、かすみんがまたいっぱい声掛けて、しず子の目を覚まさせます……!」
穂乃果「……なるほど。……じゃあ、もう一つ教えておくね」
かすみ「……?」
穂乃果「一度ウルトラビーストに魅入られた人は……また、ウルトラビーストと出会う確率が高くなるんだ」
かすみ「え……?」
──それは初耳だけど……。思わず、遥さんの方に視線を向けると……遥さんは黙ったまま頷く。事実らしい。
穂乃果「しずくちゃんと一緒に旅をするってことは、かすみちゃんもまたウルトラビーストに襲われる可能性が高いんだよ。ウルトラビーストがどれほど強いかは……かすみちゃんが一番よくわかってるんじゃないかな」
かすみ「それ……は……」
穂乃果「しずくちゃんだけじゃない。次は、かすみちゃんの命に関わることが起こるかもしれない」
かすみ「…………」
穂乃果「その反面、本部でなら、いつでもしずくちゃんを守ってあげられるし、絶対に身の安全は保証する。だから──」
かすみ「…………っ」
大人の理屈だった。でも、それ故に正しかった。
こんな理屈を突き付けられたら、誰も反論なんて出来ない。出来ない……はずなんだけど、
1002Res/2130.98 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20