5: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/10/30(日) 00:23:13.17 ID:QLy5TvuG0
せつ菜『スターミー!!! “メテオビーム”!!!』
『フゥゥッ!!!!!』
千歌『!?』
そのまま、スターミーは至近距離から極太のビームをネッコアラに直撃させた。
千歌『ネッコアラ!?』
超威力のビームを至近で受けたネッコアラは吹っ飛ばされて、フィールドにドスンと落ちたあと──
『コァァ…』
戦闘不能になってしまった。
一瞬の静寂のあと──会場が一気に湧き上がる。
実況『な、な、なんということでしょう!!!! 数々のトレーナーたちを圧倒してきた、チャンピオンのネッコアラを、せつ菜選手のスターミーが打ち破りました!!! とんでもない番狂わせだァァァ!?』
にこ『……最初の突進はブラフで、せつ菜のスターミーが使っていたのは“コスモパワー”。最初から攻撃を受ける気で、懐に潜り込んだところに“メテオビーム”を叩きこむ作戦だったのね』
実況『ですが、“メテオビーム”はチャージが必要な技のはずですよね? その予兆は特になかったように思いますが……』
にこ『持ち物よ。“パワフルハーブ”を使った奇襲。せつ菜、あの子なかなかやるわね……』
実況『あの、にこさん、最初と口調が変わっていますが……』
にこ『っは……! な、なんのことにこ〜? 千歌ちゃんも、せつ菜ちゃんも頑張れにこ〜♪』
実況『にこさんも思わずキャラを忘れてしまうほどの熱戦ということですね!!』
にこ『キャラとか言わないでよ!!』
千歌『うーん、そっかぁ……やられちゃったな。でも、次はそうはいかないよ──ルカリオ!!』
『グォ…!!』
今度はボールから出て来たルカリオが、スターミーに向かって飛び出して──
「──もう、侑ちゃん!!」
興奮しながら、画面に食い入る私を現実に引き戻したのは──世界一聞き慣れた幼馴染の声だった。
侑「歩夢……今、良いところなんだけど……」
歩夢「知ってるよ。もう、そのビデオ、何度も一緒に観たもん」
侑「なら、もうちょっと、もうちょっとだけ……!!」
歩夢「もうちょっとって……このバトル、最後まで観てたら1時間くらい掛かっちゃうよ」
侑「そう! そうなんだよ! このバトルは1時間も続くポケモンリーグ史に残る名勝負なんだよね!! せつ菜ちゃんの手持ちはたった5匹しかいないのに、お互い激しい攻防と目まぐるしいポケモンチェンジで目が離せない試合の中、千歌さんの6匹目まで引きずりだして!!! でも、最後は結局千歌さんが2匹残して勝利……やっぱり、チャンピオンは最強だったってなるけど……でも、私はせつ菜ちゃんのチャンピオンの前でも臆さない、堂々とした戦い方がかっこよくて、すっごくときめいちゃって!!」
歩夢「もう何度も聞いたよ……それより、博士との約束に遅れちゃうよ?」
侑「え? もうそんな時間?」
言われて時計に目をやると──確かに約束の時間が迫っていたことに気付いた。
侑「じ、準備しなきゃ!」
歩夢「もう……侑ちゃんったら」
侑「あ、歩夢ー!! 手伝ってー!!」
歩夢「ふふ、はーい♪ もう、しょうがないなぁ、侑ちゃんは」
ニコニコする歩夢を後目に、私は慌ただしく出掛ける準備を始めるのだった。
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