49: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/10/30(日) 16:12:50.64 ID:QLy5TvuG0
しずく「……あのとき、ゾロアが暴れ出したとき、私は……私は、自分の身を守るので精一杯だった。歩夢さんは……すぐにヒバニーとサスケさんを抱き寄せていた。侑先輩は歩夢さんを庇って……なのに、私は……メッソンの一番近くにいた私は、何もしなかった」
かすみ「……」
メッソンが臆病なポケモンだってことは、わかっていたのに。あの場で、メッソンを守ってあげることが出来たのは、私だけだったのに。パートナーになろうって、前から決めていたはずの子の一番近くにいたはずなのに、私は……。
しずく「……それなのに、まだメッソンの手がかり一つ見つけられてない。このままじゃ……胸を張って、メッソンのトレーナーになんか、なれないよ……」
かすみ「しず子……」
歩夢さんには、ポケモンを想い、有り余る愛情がある。
かすみさんには、自分のやりたいことを貫く原動力と、それを実現する行動力がある。
じゃあ、私には何がある? 今日この日に一緒に旅立つ二人と肩を並べるには、何がある? わからない。わからないから、せめて──
しずく「メッソンは……私が見つけなくちゃ……!」
パートナーのことくらい、私が見つけてあげなくちゃ……!
かすみ「……わかった。しず子は意外と強情だもんね」
しずく「ごめんね、かすみさん。だから、博士にはもう少し掛かるって──」
かすみ「一旦、研究所。戻るよ」
──グイっと強引に、腕を引かれる。
しずく「えっ!? い、今の話聞いてた!?」
かすみ「聞いてた」
しずく「なら……!!」
かすみ「しず子の持ち味は、そういうとこじゃないもん」
しずく「え……?」
かすみさんは何を……? 持ち味って……? 私は軽く呆けてしまう。
かすみ「そういう諦めないぞ〜!! みたいなのは、かすみんのキャラです!! しず子はこう……一歩引いて、冷静に考えて決めるタイプでしょ!!」
「マネマネ!!!!」
かすみ「ね、マネネもそう思うよね!」
「マネ!!」
しずく「……」
かすみ「だから、一旦研究所に戻って、頭冷やした方がいいよ」
しずく「……ごめん」
かすみ「いいよ。許す」
私はかすみさんに腕を引かれたまま、研究所へと戻っていく──
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