444: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/18(金) 14:29:44.53 ID:/fdwqF8y0
「ロト」
鞠莉「なんのためにポケモンの研究をしているのか……見失うところだったわ。人とポケモンがもっとよりよく付き合っていくために研究しているわたしが、ポケモンの気持ちをないがしろにしちゃいけないわよね……」
果南「ま、たまにはいい薬だったってことだね」
鞠莉「む……なんか果南に言われると、素直に反省出来ないかも」
果南「えーなんでさ」
鞠莉「だって、マリーとロトムの秘密を勝手に教えたの、果南でしょ」
果南「いいじゃん、減るもんでもないんだし」
鞠莉「はぁ……相変わらず大雑把なんだから……」
博士は果南さんの態度に呆れたように溜め息を吐く。
鞠莉「それにしても……しずく、あれ1日で考えたの? ポケモン演劇ってやつよね?」
しずく「は、はい! 私、スクールではポケモン演劇部に所属していたので……こうすれば、昔の気持ちを思い出してくれるんじゃないかと思って……」
かすみ「しず子はポケモン演劇部のエースだったんですよ!」
鞠莉「どうりで……素晴らしい舞台だったわ」
しずく「あ、ありがとうございます……!」
鞠莉「そういえば……あのロトム役なんだけど……」
かすみ「もっちろん、かすみんのゾロアですよ! ねー、ゾロア♪」
「ガゥガゥ♪」
鞠莉「“イリュージョン”を応用して、ここまで出来るなんて大したものだわ」
かすみ「テレビを再現するのになかなか苦労しましたけど……本番前に実物を見られたからどうにかなりました!」
「ガゥッ♪」
日々、学校の用具に化けて、イタズラを繰り返していたからこそ出来たであろうということは、今日は黙っておくことにしよう。
ゾロアには本当に助けられたわけだしね。
鞠莉「あと、あの機械音声……どうやって作ったの?」
しずく「えっと……かすみさんのポケモン図鑑の音声再生機能から、1文字ずつ……地道に録音して作りました」
かすみ「あれ、大変だったよね……間違えて違う部分録音しちゃってやり直しになったり……」
鞠莉「Oh...努力のタマモノデース……」
ある意味今回用意するものの中で、一番大変だったかもしれない……。
まあ、苦労した分、納得の行くものが出来てよかったけど。
鞠莉「ところで、しずく」
しずく「なんでしょうか?」
鞠莉「ロトムの懸念も一応払拭しておこうと思って」
「ロト?」
そう言いながら、博士は──ボールを1個私に向かって差し出してきた。
しずく「えっと……これは……?」
鞠莉「今日のお礼……ってことで、受け取ってもらえないかしら。研究所のポケモンなんだけど。きっと戦力になると思うから」
しずく「い、いいんですか?」
鞠莉「むしろ受け取ってもらわないと、ロトムが納得してくれないわ」
「ロト」
しずく「そういうことでしたら……!」
私は博士からボールを受け取り、すぐにボールを放って、外に出してみる──
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