42: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/10/30(日) 16:03:40.19 ID:QLy5TvuG0
私は咄嗟に橋桁から飛び出して、逃げ遅れたポケモンのもとへと走る。
歩夢「ゆ、侑ちゃん!?」
侑「歩夢はそこにいて!!」
叫びながら、私は一直線に走る。
無謀なのは承知だ。でも、何も関係ない子を巻き込むわけにはいかない。
「ブイィィ……」
か細い鳴き声がどんどん近くなる。
それと同時に、風を薙ぐ音が何度も自分の間近を通り過ぎる。
急げ、急げ、急げ……!!
「ブィィィ……」
──あと、ちょっと……!!
あと大股で何歩か、というところで──私の背後から、風の刃の音が迫ってくるのが聞こえた。
歩夢「──侑ちゃん!!!! 避けてえええええ!!!!!」
歩夢の悲鳴のような声が響く。私の背後に“エアカッター”が迫っていることがわかった。
──ダメだ、今避けたら、あの子に当たる……!!
侑「うあああああああああああああっ!!!!」
一か八か……! 私は地面を蹴って、頭から飛び込んだ──
「ブイッ…!!!」
ポケモンを抱き寄せながら、
侑「……ッ!!!!」
地面を転がる。──ズシュッ! 嫌な音がした。
侑「……ッ゛……!!」
肩に走る鋭い痛み。
「ブイ……」
心配そうな鳴き声が、胸元から聞こえて来た。
侑「……あはは……大丈夫、大丈夫……掠っただけだから……それより、君は大丈夫だった……?」
「ブイ……」
侑「無事みたいだね……よかった……」
「ブィィ…」
侑「……早く、お逃げ……」
「ブイ…」
胸の中から這い出てくる小さなポケモンに逃げるように促し、その子の壁になるように片膝を突きながら立ち上がる。
肩の切り傷もだけど……河原の石の上を転がったから、全身が痛い。
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