405: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/16(水) 17:59:47.21 ID:jDmvoJTA0
歩夢「今の……侑ちゃん……?」
🎹 🎹 🎹
──バシャバシャとぬかるむ地面を踏みしめながら、私は走る。
牧場から、砂浜に向かって。来た道を全力疾走する。
その途中、
リナ『侑さん!?』 || ? ᆷ ! ||
彼方「あ、侑ちゃん……!?」
リナちゃんや彼方さんたちとすれ違ったけど、その横をそのまま通り過ぎて──私は砂浜に走る。
侑「私……何やってるんだ……」
何が、歩夢は戦えないだ。
何が、私が守ってあげなきゃだ。
少なくとも私には、ラクライの群れのボスがどの子かなんてわからなかった。
ラクライたちを捌きながら、ラクライのボスを的確に見抜いた歩夢が戦えない? そんなわけない。
──『私の大切な人たちが、傷つく方が……もっと怖い……。大切な人たちの笑顔が守れるなら……!! ……怖くても、戦えます……!!』──
歩夢は、野生のポケモンが怖かったんじゃない。
侑「私が傷つく姿を見るのが怖かったんだ……私を守れない……自分が許せなかったんだ……」
だから、バトルから遠ざけたり、自分を責めるようなことを言っていたんだ。
何度も気付くチャンスなんてあったのに。
どうして、気付いてあげられなかったんだ。
私は幼馴染で、歩夢のことを一番わかっているつもりだった。
でも、私は……歩夢のこと、全然わかっていなかった。
ずっと歩夢は──
侑「私の力になりたいって、そう思って頑張ってくれてたのに……っ……」
歩夢が弱いから、戦いに慣れていなかったから、ジム戦に負けたんじゃない。
歩夢は立派に戦っていた、なのに私は──歩夢が戦わなくて済むようにすることばかり考えていて、
侑「私が……歩夢を信じてあげられなかっただけじゃん……っ……!!」
本当に足を引っ張っていたのは、自分だった。
守るどころか、守られていた。
そんなことに今更気付いて。
侑「はぁ……はぁ……!!」
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