侑「ポケットモンスター虹ヶ咲!」
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392: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/16(水) 17:41:50.76 ID:jDmvoJTA0

簡単に言うけど……パールルって大人しくて戦闘向きのポケモンじゃないし……。

ふと、彼方さんはどうやってこんなに強く育てたのかが気になってくる。


侑「あの……彼方さんのポケモンって、どうしてそんなに強いんですか……?」

彼方「ん〜? どうしてか〜」

侑「育て方にコツとかがあるんですか?」

彼方「育て方は……よくわかんないかな〜」

侑「わからない?」

彼方「正確には覚えてないというか〜」

侑「……覚えてない……?」

彼方「気付いたときには彼方ちゃんの手持ちだったからね〜」

侑「……?」

彼方「実はね〜彼方ちゃんね〜、昔の記憶がないんだ〜」

侑「……え?」


突然のカミングアウトに一瞬意味が飲み込めず、ポカンとしてしまう。


侑「記憶がないって……記憶喪失……ってことですか……?」

彼方「うん、そんな感じ〜」

侑「…………あの、なんか……すいません」


軽い気持ちで聞いたつもりだったけど、思った以上に重い理由が返ってきて、恐縮してしまう。


彼方「あはは、そんなに気にしないで大丈夫だよ〜。別に記憶がなくても、そんなに不便なわけじゃないし〜。遥ちゃんもいるし〜」

遥「……お姉ちゃんはちょっと能天気すぎるような……。えっと、実は私もお姉ちゃんと同じで昔の記憶がないんです」

侑「そうなんだ……」

遥「私とお姉ちゃん……4年くらい前に、この浜辺で倒れているところを発見されて……」

彼方「目が覚めたときにはもう記憶がなかったんだよね〜。それでそのとき、彼方ちゃんと遥ちゃんを見つけてくれたのがエマちゃんだったんだ〜」

侑「エマさんが……」

リナ『昨日言ってた、エマさんが命の恩人って言うのは……』 || ╹ᇫ╹ ||

遥「はい……浜辺で気を失ったまま、衰弱しきった私たちを助けて看病してくれたのがエマさんだったんです」

彼方「だから、しばらくはエマちゃんと一緒に暮らしてたんだよー。その後、いろいろあって、穂乃果ちゃんや千歌ちゃんと出会って、今に至るって感じかなー」


そのいろいろがかなり気になるけど……まあ、たぶんそれは言えないことなんだろうから、これ以上聞くのは止めておこう。


彼方「目が覚めたときには、記憶はほとんどなくって、自分の名前が彼方で、遥ちゃんが大切な妹だってことしか覚えてなかったんだ。ただ、バトルは身体が覚えてたんだよね。きっと、記憶がなくなる前はすっごいトレーナーだったんじゃないかなー?」

遥「反面私は、バトルはからっきしで……」

彼方「きっと、記憶がなくなる前から、彼方ちゃんが遥ちゃんのことを守ってたんだろうね〜」

遥「私も少しは強ければなぁ……」

彼方「だいじょ〜ぶ! 遥ちゃんは彼方ちゃんが守ってあげるから〜!」


確かに彼方さんくらい強ければ……私も歩夢を守ってあげられるんだろうな……。

そんなことを思いながら空を仰ぐと──灰色の雲が少しずつ勢力を増してきていた。

曇天の予兆。まるで、今の私の心のもやもやを表しているかのようだった。






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