39: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/10/30(日) 15:59:13.74 ID:QLy5TvuG0
侑「い゛ッ!!?」
歩夢「っ゛!!?」
標的の名前を叫ぶと同時に──私の声を掻き消すように、耳障りな音が辺り一帯に響き渡る。
「ヒ、ヒバニッ…」
歩夢「ヒバニー……!?」
歩夢の頭にしがみついていたヒバニーが目を回して落っこちそうになったところを歩夢がキャッチする。
侑「こ、これ……ッ……ゴルバットの……ッ……“いやなおと”……ッ……!?」
もしかしたら、耳の大きなヒバニーには、この音の影響が大きいのかもしれない。
歩夢もすぐに気付いたのか、ヒバニーの耳を塞ぐように胸に抱き寄せる。
それだけじゃない、近くの草むらから小型の鳥ポケモンが一斉に飛び立ち、他にもコラッタやオタチといった小型のポケモンたちが草むらから飛び出して逃げ回っている。
歩夢「とにかく……っ……音を……どうにか、しなきゃ……っ……!!」
「シャボッ…!!」
歩夢「サスケ……!! “どくばり”……!!」
「シャーーーッ!!!!」
サスケがゴルバットに向かって、小さな毒の針を無数に吐き出す。
「ゴルバッ!!」
サスケの攻撃に気を散らされたのか、小さな鳴き声と共に“いやなおと”が止む。それと同時に──バサッと大きな翼が開かれ、ゴルバットが橋桁から飛び出した。
「ゴルバッ…!!!!」
ゴルバットは私たちの姿を認めると──大きく翼を振るって、
侑「!? 歩夢!! 危ない!!」
歩夢「え!? きゃっ……!!」
風の刃を飛ばしてきた。“エアカッター”だ。
間一髪、歩夢の手を引いて、無理やり自分の方に抱き寄せると──先ほど歩夢がいた場所が風の刃に切り裂かれて、河原の地面が軽く抉りとられる。
侑「歩夢!? 怪我は……!?」
歩夢「だ、大丈夫……ありがとう……」
ホッとするのも束の間──ゴルバットに目をやると、大きな翼で空を旋回しながら、私たちを睨みつけている。
侑「敵だと思われてる……?」
歩夢「ゴルバット……! 私たち、あなたをお家に返してあげようとしてるだけで……!」
「ゴルバッ!!!」
歩夢の声を掻き消すように、再び飛んでくる風の刃。
侑「っ……!!」
私は歩夢の腕を引いて、走り出す。
とどまってちゃダメだ……!!
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