367: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/14(月) 18:01:54.39 ID:wroKVd390
エマ「……ねぇ、歩夢ちゃん」
歩夢「な、なんですかー?」
どうにか、押し寄せてくるポケモンたちを優しくのけながら返事をする。
エマ「さっき、自分には何もないって言ってたけど……歩夢ちゃんは十分すごいと思うよ」
歩夢「え、いや……そんなこと、ないです……」
エマ「うぅん。ポケモンをよく見てるし……すごくポケモンのことを大切に想ってる」
歩夢「そんなの普通のことですよ……」
エマ「普通じゃないよ。今こうしてポケモンたちが歩夢ちゃんの傍に寄ってきてるのが何よりの証拠だよ。ポケモンたちは自分たちをいい加減に想っている人のところには近寄ってこないもん。そういう人って歩夢ちゃんが思っている以上にたくさんいると思うよ?」
歩夢「…………」
エマ「わたしね……さっき歩夢ちゃんの話を聞いてから、ずっと考えてたの。立派なポケモントレーナーってどんな人なのかなって」
エマさんは、真剣な顔で私を見つめていた。
エマ「ポケモントレーナーってただ、ポケモンバトルが上手な人のことじゃないと思う。ポケモンを見て、触れて、お話しして、知って、わかり合って……信頼しあって、大切に想い合える人が、ポケモントレーナーなんじゃないかって」
歩夢「……」
エマ「歩夢ちゃんは、自分は違うって思っちゃうのかもしれないけど……少なくともわたしには、今まで見てきたどんなトレーナーさんよりも、歩夢ちゃんは素敵なトレーナーさんに見えるよ」
歩夢「エマさん……」
私はエマさんの言葉にどう答えていいかわからず、思わず目を逸らしてしまう。
エマ「……そんなに急いで、自分が向いてるか向いてないかを決めなくてもいいんじゃないかな」
歩夢「…………」
エマ「少なくとも……歩夢ちゃんのことを素敵なトレーナーさんだと思っている人間が、ここに一人いるから」
歩夢「…………はい」
……私、ポケモントレーナーでいても……いいのかな……。
ぼんやり考えながら、ミルクの溜まっていくバケツを見つめていると──
「ミル〜」
歩夢「!?」
バケツの中から、ふわりとミルクが浮いてきた。
いや、これって……。
歩夢「ポケモン……?」
「ミル〜」
搾りたてのミルクのような色をしたポケモン。初めて見るポケモンだ。
エマ「マホミル……!」
歩夢「マホミル……?」
どうやら、このポケモンはマホミルと言うらしい。
エマ「甘い香りの成分が集まって出来たポケモンって言われてて……ミルクの匂いに反応して出てきたのかも」
歩夢「そうなんだ……」
「マホミ〜♪」
1002Res/2130.98 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20