283: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/10(木) 21:02:22.99 ID:IGCv6YWI0
一人呟きながら、エレベーターに乗り込むと、私は地下へと運ばれる。
エレベーターが動きを止め、目的地の地下階へと降り立つと──
「ベベノー」
白と黄色のボディが特徴的な小さなポケモンがふよふよと自由気ままに漂っていた。
そして、そのさらに奥には、このポケモンの主、大きなモニターの前に座った子が、金髪のポニーテールを揺らしながら、こちらに振り返る。
愛「やー、カリン。重役出勤だね〜」
果林「愛……。悪かったわ。ちょっとエマに捕まっちゃって」
愛「見てたよ〜。いやいや、仲睦まじそうで愛さん嬉しいよ。昔のカリンのこと思い出すみたいで」
果林「茶化さないで。というか、見ないで欲しいんだけど」
愛「それはダメだって。エマっちを監視しないわけにいかないっしょ? カリンにあれだけ近い存在なんだから」
果林「…………」
愛「そんな顔しないでって、アタシがそれだけ真面目に仕事してるってことじゃん」
果林「……そうね」
愛「アタシ結構頑張ってたんだからね? まさかカリンが丸一日も遅刻するなんて思わないじゃん?」
果林「だから、悪かったって言ってるでしょ……」
愛「ま、カリンのことだから、カナちゃんの様子見に行ったついでに、森で道に迷ったとかそんな感じでしょ?」
果林「……ここにいたなら発信機で概ね見当が付いてるんでしょ……」
愛「あっはは♪ ま、そうなんだけどね〜」
わざわざ、こんなことを言ってくるのは遅刻したことへの当てつけなのか、それとも……。
愛「んで、カナちゃんはどうだったの?」
果林「相変わらずよ。チャンピオン二人が脇を固めているから、近寄れないわ」
愛「だよね〜。ま、今チカッチは離れてるっぽいけど」
果林「穂乃果ちゃんがいるなら、どっちにしろ厳しいわね……」
相手は元とはいえチャンピオンだ。二人いるときよりはマシとは言え、私一人で相手取るには少々厳しいものがある。特に穂乃果ちゃんは……。
愛「ま、それはそれとして……ことりの方はどうだったの?」
果林「……あえなく撃墜されたわ。やっぱり私が指示を出せない状態で襲撃してもダメね」
愛「ひゃー……やっぱ、さすがの強さだね。んで、撃墜された後どうしたの? 回収できたん?」
果林「ええ。このとおりよ」
私は腰からボールを取り出して愛に見せる。
愛「カリンが撃墜地点まで行って回収したの? それって足付かない?」
果林「回収は姫乃にしてもらったわ」
愛「その後、姫乃っちとどっかで合流した感じ? 周りに人いない場所でやった?」
果林「いいえ。むしろ、コンテストで優勝したあと、ファンに囲まれている中で受け取ったわ」
愛「……相変わらず無茶するねぇ」
果林「ああいうのは、こそこそしている方がバレるものよ。人の多い場所でやった方がむしろ目立たないわ」
愛「木を隠すなら森の中〜人を隠すなら〜ってやつ? ま、わからなくもないけどね〜」
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