270: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/10(木) 11:49:01.76 ID:IGCv6YWI0
程なくして、私の意識はゆっくりと眠りに落ちていくのだった。
🎹 🎹 🎹
「──はい、順番。すぐにあげるから待っててね」
「ハネ〜」「ハネ〜」「モンメ」「チュリチュリ」
何やら楽しげな声が聞こえてきて、少しずつ意識が浮上してくる。
侑「ん……」
ぼんやりと目を開けると、
歩夢「あなたは“モモンのみ”かな? そっちのチュリネは“クラボのみ”がいいかな?」
「ハネ〜」「チュリ♪」
歩夢が周りに群がる大量のくさポケモンたちに“きのみ”をあげているところだった。
侑「……あはは、やっぱり歩夢は大人気だ」
歩夢「あ、侑ちゃん。おはよう」
侑「おはよう」
目を覚ました私に気付いて、歩夢が顔をこちらに向けると、その拍子に、
「ハネ〜」
歩夢の頭の上でくつろいでいたハネッコがぽ〜んと跳んで行った。
歩夢「あ、ハネッコ……跳んでっちゃった」
侑「あはは、ハネッコは軽いからね」
くすくすと笑いながら、歩夢を見つめる。
穏やかな表情で、野生のポケモンたちと戯れている姿は──すっかりいつもの歩夢だった。
侑「エマさんの言ってたとおり、みんな大人しいね」
歩夢「うん。起きたら、ハネッコとモンメンに視界を埋め尽くされてた時はびっくりしちゃったけどね……あはは」
侑「やっぱり歩夢は特別ポケモンに好かれるみたいだね」
歩夢「あはは、そうなら嬉しいかな」
侑「……歩夢」
歩夢「なに?」
侑「野生のポケモン、怖くない?」
歩夢「……全然怖くないわけじゃないよ。でも、怖い子ばっかりじゃない……大人しい子だったり、優しい子だったり、甘えんぼの子だったり。野生のポケモンにもいろんな子がいるんだよね……」
歩夢が近くを漂っているハネッコに手を伸ばすと──ハネッコが歩夢の手の平の上にふよふよと着地する。
歩夢「ラクライたちだって……自分たちの縄張りを守ろうとしてただけなんだよね……」
侑「歩夢……」
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