221: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/08(火) 14:48:44.61 ID:YYNh6Lpr0
「も、もし、このままあの“おや”のもとに帰ったら…か、確実に殺されるロト…」
しずく「殺されるって……そんな酷いトレーナーだったんですか?」
「それはもう…普段から、ご飯もロクにくれなくて…泣く泣く脱走して、自販機で電気を食べていたところだったロト…」
しずく「それは、まあ……大変かもしれませんね」
「もし、しずくちゃんの手持ちに入れてくれるなら、しばらくは檻の中でも我慢するロト!!! お願いだから、“おや”探しは止めて欲しいロト!!!」
先ほどまでの要求を覆している辺り、“おや”のもとに帰りたくないというのはどうやら本当らしい。
私は、少し悩んだものの、
しずく「……わかりました。とりあえず、今は“おや”を探すのは止めておきましょう」
とりあえず、ロトムの要求を呑むことにする。
「ホ、ホントロト!?」
しずく「その代わり、当分檻の中になりますけど、それでもいいんですか?」
「…や、やむを得ないロト…。ただ、ご飯だけはくださいロト…」
しずく「ふむ……」
私は、しおらしいロトムの態度を見て──ガチャリ、
「ロ、ロト…?」
しずく「檻から出ていいですよ」
檻の鍵を開けてあげる。
「い、いいロトか…?」
しずく「ただし、当分は図鑑から出ないでください」
「ロト…?」
しずく「ポケモン図鑑から少しでも外に出たら、“おや”を探してもらうよう、はぐれポケモンとして届け出を出しますからね。それくらいの条件は呑めますよね?」
「わ、わかったロト…」
ポケモン図鑑は戦闘用のフォルムではないから、自由に飛び回られるより制御もしやすいだろうし。
「そ、それで、本当に“おや”は探さないでくれるロト…?」
しずく「はい」
私は頷く。……積極的に“おや”に返すように働きかけるつもりはない程度だけど……。
もし、旅の途中で見つかるようなら、引き渡すつもりだ。
このまま、制御の効かないロトムを檻に閉じ込めたまま一緒に旅するより、とりあえず表面上の要求を呑んで、言うことを聞いてもらう方がいいと判断したという話でしかないが。
「ありがとうロト!! それじゃ、しずくちゃん、これからよろしくロト!!」
しずく「はい、よろしくお願いします。それでは、早速図鑑のマップ機能でホテルを探してもらえますか?」
「え…ボクがやるロト?」
しずく「もちろんですよ。貴方は今、私のポケモン図鑑なんですから。まあ、嫌なら持ち主のもとへ……」
「わ、わかったロト!!! 今すぐ検索するロト!!」
しずく「はい、お願いしますね」
成り行き上とは言え、喧しい仲間が増えてしまった感は否めないが……“おや”を見つけるまでは、どうにかやって行くしかない。
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