203: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/07(月) 12:46:53.29 ID:HEs2RhQZ0
果林「さっきは会場を教えてくれてありがとう。お陰で助かったわ」
しずく「あ、あの!!」
自分でもびっくりするくらい大きな声が出た。
しずく「どうすれば、果林さんみたいなパフォーマンスが出来るようになりますか……!?」
果林「あら……そんなに私のパフォーマンス、よかったって思ってくれたのね」
しずく「はい……! 見ていて、私もあんなパフォーマンが、演技が出来るようになりたいって思って……私……!」
必死に自分の言葉を紡ぐ私に、
女の子「はぁ……貴方、おこがましいですよ」
急に傍にいた、黒髪の女の子がイライラしたような口調で噛み付いてくる。
しずく「え……あ、えっと……」
女の子「果林さんが素晴らしいのは当たり前です。日々、血の滲むようなトレーニングや研究を積み重ねて、この場に臨んでる。そんな果林さんのようになりたい? 簡単に言ってくれますね」
しずく「ご、ごめんなさい……」
果林「こら、ケンカしちゃダメでしょ?」
女の子「で、ですが……」
果林「ダメでしょ?」
女の子「す、すみません……」
果林さんが窘めると、その子は急に大人しくなる。
しずく「あの、ごめんなさい……私……」
果林「ふふ、いいのよ。貴方も私のパフォーマンスに魅了されちゃっただけだものね」
しずく「果林さん……」
果林「憧れてくれて光栄だわ。……そうね、もし私みたいに、なりたいって思うのなら」
しずく「なら……?」
果林「舞台に立つときは、自分が今何を求められていて、今の自分に必要な役割を考えて……その上で出せる最高の自分を演じてみると、いいんじゃないかしら?」
しずく「自分の役割と……その上で最高の自分を演じる……」
果林「役割を理解していれば自ずとチャンスは巡ってくる。チャンスが巡ってきたらそのときは──今、私がこの舞台で一番輝いてるって、胸を張ってパフォーマンスをする……ね?」
しずく「は、はい……!」
女の子「そろそろいいでしょうか?」
気付けば、先ほどの女の子が私を静かに見つめていた。
しずく「す、すみません……!」
確かに、これだけのファンに囲まれている中で、私だけがいっぱい話しかけていたら、不満もあるだろう。
私は、果林さんに一礼してから、その場を撤退しようとしたその背中に、
果林「貴方、名前は?」
しずく「……! し、しずくです!」
果林「しずくちゃんね。覚えておくわ。頑張ってね♪」
しずく「は、はい……!///」
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