201: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/07(月) 12:43:50.57 ID:HEs2RhQZ0
しずく「──カリスマモデルの、果林さん……」
彼女は今やカリスマモデルとして、あちこち引っ張りだこの人気者──果林さんだった。
私が夢見ている、表の舞台に立つ人。もちろん、女優とモデルでは少し違うけど……それでも、人前に立ち、自分を表現する人間。
いや、それだけじゃない、
かすみ「あのキュウコン……きれい……」
しずく「うん……」
着飾られたアクセサリーはワンポイントの帽子だけで──とは言っても、帽子も意匠を凝らした物を被っている──少し寂しいようにも見えるけど……それを感じさせないくらいに、全身のきめ細かい黄金の体毛が光を反射してきらきらと輝いている。
キュウコン自体は何度か見たことがあったけど、今まで見たキュウコンとは毛並みが根本的に違う。
もはや、別のポケモンにすら見えてくる。
しずく「……あの毛並みを殺さないために、必要以上に着飾らないようにしてる……」
着飾ることを生業にしているはずの彼女が、ポケモンを魅せるために、自分が普段行っていることとは逆の手法で、キュウコンの魅力を引き出している。
あの人は恐らく、根本的に“魅せることが何か”を理解している。
その証拠に、
かすみ「…………すごい」
先ほどまで、大はしゃぎで、ニャルマーやニンフィアを可愛い可愛いと褒めちぎっていたかすみさんが、キュウコンの“うつくしさ”に魅了されている。
しずく「──そっか……表現をどう魅せるか考えることに、人も、ポケモンも、関係ないんだ……」
これは果林さんの──プロの世界の表現を見ることが出来るまたとないチャンス。
私はこのステージを、しっかりとこの目に焼き付けなくてはいけない。そう直感した。
司会『さあ、それでは一次審査を開始します! 皆さんお手元にペンライトの準備はよろしいでしょうか──』
💧 💧 💧
しずく「…………」
かすみ「……なんか、すごかったね」
前方のメインスクリーンに目を向けると──エントリーNo.4のキュウコン&果林の審査メーターだけが飛び抜けていた。
誰もが認める、キュウコンと果林さんの完全勝利。会場全てが彼女たちのうつくしさに魅了されていた。……それはもう、圧倒的だった。
仮にもこの大会はウルトラランクだと言うのに……。
かすみ「なんか、ポケモンからしてレベルが違ったって感じがしたよね……あのキラキラした毛並み、反則級だったかも」
しずく「……うぅん、そうじゃない」
かすみ「え?」
私はずっと、果林さんとキュウコンを観察していた。そのときに、気付いたことがあった。
──あのキュウコンの毛並み、輝きすぎている、と。もちろん、普段からの手入れも最上級に拘っているんだろうけど……。
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