93: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/11/16(水) 22:21:17.02 ID:W1WHWUQU0
今更言うまでもないことですが、大東亜戦争の折、帝国海軍は太平洋上で幾度となく欧米諸国の艦隊と熾烈な戦闘を繰り広げました。
その時に刻まれた“艦時代”の記憶は、艦娘としてヒトの形を得た今も綾波達の中に残っています。
故に、アイオワさんやサラトガさんのような米国艦娘を筆頭に、この一年ほどで急速に“実装”が進んだ旧連合国の艦娘の皆さんに対して、大なり小なり複雑な思いを抱える子はいるでしょう。
かく言う私だって、在比米軍鎮守府に派遣されてきたジョンストンさん──フレッチャーさんの妹艦にあたります──と初めて言葉を交わした時は正直かなりぎこち無い反応をしてしまいました。
とはいえ流石に、深海棲艦という共通の敵を前にしながらここまではっきり拒絶反応を示す方は非常に珍しい部類に入る気がしますけど……。
「大体、他の艦娘は大和魂が足りないんだ。幾ら時代が変わったからって、祖国を焼け野原にし天皇陛下に心痛を与えた連中に────わぶっ!?
な、なにするんd、いだだだだ!!?」
「Japanese destroyerのイキの良さは“身をもって”知ってるけどサ。アンタはちょっと良すぎね、ハツ」
尚も言葉を続けようとした初月さんの頭を、もとより眠たげな眼を更に眇めたアトランタさんが上から抑えつけ遮ります。即座の反駁が飛ぶも今度は額に親指を押し当ててグリグリと捩じ込むような動きを見せ、初月さんの口から悲鳴が漏れました。
「そ〜いうデカイ口は、あたしより多く敵機を落としてから叩くんだね。見た感じ、こっちの半分も撃墜できてなかったんじゃない?」
「……米国艦のくせにどうやら電探装置に不具合があるみたいだな。どう見ても撃墜数は僕の方が多かっただろう!?なんなら数も三倍差はついていたはずだ!!」
「ハッ、そっちこそレーダー研究疎かにしすぎだっての。本当はもう3倍ぐらい差があったのを、気遣いでわざわざ過小報告してやったんだけど」
「ふ、2人ともやめよーよ………精度が悪すぎて物量でゴリ押さないとろくに撃墜できないのはどっちも変わらないんだしさ」
「何だと!?」
「……Saying again, bitch」
「あ、あの、またいつ敵艦隊が来るかわかりませんから…………」
「Kids」
凄絶ないがみ合いを止めるかと思われたフレッチャーさんがまさかの参戦で三つ巴となり、とても最前線とは思えない(醜悪な)大騒ぎを繰り広げます。その周りで止めるに止められず困り顔の鳥海さん、呆れ顔で冷たい視線を向けるヒューストンさん。
「……………………Ah」
ホーネットさんはと言えば、最早視線をそちらにやる気力もないのか多摩さんと向かい合ったままげんなりとした暗い表情でただ肩を落とします。
長い沈黙の果に喉奥から漏れた、心底からの疲労と諦観に満ちた溜め息が彼女のこの艦隊における立ち位置とそれに伴う苦慮の度合いを何よりも雄弁に語っておりました。
「………輸送中から、ずっとあんな感じよ。私達は私達で、全員が別々の鎮守府から急遽寄せ集められた相性最悪の臨時編成艦隊ってわけ。
まぁ自分で言うのもアレだけど、私含めて戦闘の腕自体は確かだしengage中にやり出す程節操ないわけじゃないから安心して…………ええと、多分」
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