84: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2022/11/04(金) 23:12:26.48 ID:g15duR2T0
この、敢えて開かれた退路に施される“一計”。それがどれほど大きく戦果を拡大してくれるかは、かの黒田官兵衛を始めとした歴史上の名将達が幾度となく証明してきました。
「山城!」
「心得ております!航空隊全機、発艦開始!!」
〈〈〈リョウカイ!!〉〉〉
扶桑さんの号令に従い山城さんが掲げたのは、主砲ではなく飛行甲板。
カタパルトが作動し、やや鋭角的な形状をした緑色の“ゲタ履き”機体───水上偵察機【瑞雲】が次々と飛び立っていきます。
本来“ゲタ履き”は、その機種名が示す通り偵察任務や弾着観測などを役割として設計・開発されたもの。
戦闘能力は皆無でこそないにしろ、あくまでも自衛がこなせる程度で戦力としてカウントされるべきものでは本来ありません。況してや対艦戦闘などは想定外のそのまた外でしょう。
ただし瑞雲に関しては、巡洋艦からの航空爆撃によって敵艦隊を打撃するという大本営の構想の下急降下爆撃をもこなせる速力・運動能力と機体強度を両立しています。
加えて父島鎮守府に配属されている山城さんの瑞雲隊は、乗組員の妖精さん全員がかの“六三四式”の練成を受けた精鋭部隊。受領している機体も、全て最大改修を受けた12型。
水上偵察機隊として、という前置きは必要ありません。機種の枠組みを抜いて考えても、十分に国内“屈指”の航空戦力と呼んで差し支えない陣容でした。
〈モクヒョウチョクジョウニトウタツ!〉
〈バクゲキカイシ!コウカ、コウカ、コウカ!!〉
23機という数は、決して多いとは言えません。機体性能や妖精さんたちの練度を差し引いて考えても、艦載機隊や敵艦隊の指揮系統が健在であったなら為す術なく捕捉されそのまま殲滅されていたでしょう。
しかし、前者は徹底的な対空砲火網によって消滅し後者も最早完全な立て直しは不可能な段階まで陣形が崩れきっています。
申し訳程度にばら撒かれる散発的な対空砲火をスイスイとくぐり抜けて後衛艦隊群の“上”を取った瑞雲隊が、次々と機体を回転させ急降下態勢に移ります。
そうして始まった爆撃は、瑞雲隊が自分たちの兵力と役割をよく理解した完璧なものでした。
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