エンド・オブ・ジャパンのようです
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283: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2024/07/29(月) 23:06:17.38 ID:eAQesrsX0
1人の少女が、ズカズカと大股で肩を怒らせながらこちらへ歩み寄ってくる。

年の頃は西住さんと同じぐらいで、不健康寄りな白さの肌と鼻の頭のあたりに散りばめられたそばかすが先ず視線を引く。やや癖っ毛気味なブラウン色の髪を乱雑に両脇で束ね、垂れ目でありながらその奥の瞳は存外気の強そうな輝きを放っていた。

大いに礼を失することを承知の上で評するなら、西住さんや同じアンコウさんチームの五十鈴華さん、或いは知波単学園の西絹代さんのように衆目を集める美少女とは言い難い。
ただそれは彼女が容姿に劣るわけではなく、自分の強みを理解しておらず、また自身への頓着が無いため損をしている……という印象を受けるわ。

「…………、……………フゥ」

少女は勢いそのままに私たちの直ぐ側まで来ると、西住さん、私、周りの保安官、そして阿音の順に視線を巡らせる。数秒の沈黙の後につかれた溜め息は、心底からの呆れを吐き出し───

──同時に、自分の中で抱えている何らかの緊張をほぐそうとしている様にも、私には見えた。

「アンタ達、もう一度聞くわよ。一体全体何をしてるの?」

「な、何って、叢雲さんの介抱だけど…………というか、何でアリサちゃんはそんなに怒ってるの?」

(………ああ、大会一回戦フラッグ車の)

左脚をこっちが申し訳なくなるほどの必死さで揉みしだいていた女保安官が困惑と共に口にした名を聞いて、ハタと思い当たる。
サンダース大附属高等学校の通信手で、西住さん達の無線を傍受していたとかで物議を醸した子だ。

「怒ってないわよ、呆れてるだけ」

少女──アリサさんはもう一度ため息を付くと、ややオーバーな動きで額に手を当てて軽く俯いてみせた。

「あのねぇ、艦娘ってのはかなり特殊な存在なんでしょ?確かに見てくれの体格はアタシやニシズミと同じだけど、軍艦1隻分の戦闘力を持ってるって話じゃない。実際W号の車内から見てる限り、アタシら普通の人間なんか足元どころか小指の先っぽにも及ばない暴れぶりだったわ。

そんなASTRO BOYも真っ青なトンデモパワーの持ち主の身体が、貧弱な人間の力で“撫で回して”やった結果また回復すると本気で思ってるの?」

「そ、それは………」

「見たところ、ムラクモの装備は最低限度、しかも損傷してる。多分、Privateの満喫中にこの乱痴気パーティに巻き込まれたんでしょうよ。

──Hey」

∬メ´_ゝ`)「………」

女保安官は反論ができず言い淀み、他の三人の動きも止まる。間髪入れず、アリサさんは視線を阿音に向ける。

「貴女、その服装見る限りJSDFの関係者でしょ?あくまで推測だけど、ムラクモの“修理”には専用の設備が必要だし、戦闘力を上げるならそもそももっと充実した装備を用意しなきゃならない………ってコトで間違いないかしら?」


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