エンド・オブ・ジャパンのようです
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281: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2024/07/29(月) 23:01:57.36 ID:eAQesrsX0
艷やかな栗色のボブ・ショートヘア、髪と同じ色をしたパッチリと大きな瞳、どこか優しげで人懐こさを感じさせる、可愛らしい小動物のような風貌。

紛れもなく、美少女と呼ぶに値する容姿。パッと見はとても装甲兵器を扱った特殊な武道に精通した人間であるようには、況してや名門学園艦チームを破り、大学選抜をさえ薙ぎ倒し、遂には界隈から“軍神”とまで称されるほどの人物だとは思えない。

「初めまして、大洗女子学園の西住みほといいます。

先程はありがとうございます、本当に助かりました。

お身体の方は大丈夫ですか?」

「…………ええ、お陰様で。こちらこそ、助かったわ」

西住みほ。

私は、彼女のファンだ。彼女の戦車道に魅せられ、インタビュー内容や試合中の言動から伺える人柄に惹かれ、彼女の事を応援している。
恥を凌いで言うならば、彼女とその友人達の“日常”を守ることは、私が戦う理由の一端として決して小さくない割合を担ってもいる。

なのに。そんな、“憧れの人物”が、すぐ眼の前に立っているという状況で。

私の身体はまるで、単身でFlagshipクラスのヒト型と相対した時のように強張った。

「……………あの、私の顔に何か付いてますか?」

「ああいや、別に。そうね、流石に少し疲れて、ちょっと頭が働いてなかっただけよ」

「あっ、そうですよね!あんな数に囲まれながら戦っていたんですから………本当に、叢雲さんのお陰で助かりました。重ね重ね、ありがとうございます」

「気にしないで頂戴。軍人として、艦娘として、務めを果たしたに過ぎないから」

思い切り俗な言い方をすれば、“推し”と真正面から向かい合っての会話。きっと世の全てのオタクたちが垂涎と共に羨望の声を挙げるようなシチュエーションなのでしょう。

「…………?」

だけど私は、喜ぶどころか益々緊張を強くする。物理的な緊張もより一層はっきりと表出したらしく、右手を甲斐甲斐しく揉んでいた女保安官が不審げに眉根を寄せた。

さっき妥協を拒絶した私の“勘”が、比べ物にならないほど激しく警鐘を鳴らしている。

これ以上、ここに居てはいけないと。

西住みほに、これ以上語らせてはいけないと。

(………………………ああもう!!!)

……目下最大の問題は、私が“善意の拘束”を受けてる真っ最中ってところかしらね。陣地入り直後に纏わりついてきた“お世話係”たちは、あいも変わらず懸命に私の四肢を揉みほぐしてくれている。


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