エンド・オブ・ジャパンのようです
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142: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/01/27(金) 00:37:43.75 ID:sMuggt4e0
突拍子もない申し出ではあったが、その御蔭で落ち着けたこともまた事実。そして辺りを見る余裕が出てくれば、司令室全体が不安と疲労に擦り潰されそうな有様となっていることが直ぐに感じられた。
休養はとても取らせられる状況ではないにしろ、“一息”ぐらいは入れさせなければそれもまたどこかで致命的な決壊を招くだろう。

「いえ、やはり流石にここの指揮は私の職務ですので、戦況が安定するまでは離れられません。

ただ、リラックスはしたいので甘い飲み物と軽食も頂いてよろしいでしょうか?できれば、ここの人数分」

「! 畏まりました、すぐにお持ちします!!」

序でに明確な役割を与えれば間宮の心労も和らぐだろうと提案すると、“本職”を与えられた間宮は一転気合十分といった表情で頷き、飛ぶようにして司令室から出ていった。

(…………………、さて)

冷静さを取り戻した頭で、改めて現状を整理する。先に述べた通り、人類は世界規模で絶望的な戦況を強いられている。その最大にして直接要因は、言うまでもなくフィリピン海に現れ今現在本土に北上中の【学園艦棲姫】だ。
だが、そこを更に突き詰め掘り下げて考えていくと、より根源的な苦戦の要因は………結局、今回もまた敵の圧倒的な“物量”に行き着く。

(【学園艦棲姫】という圧倒的な存在を投入し、周辺や艦内に推定数千隻規模の“随伴艦隊”を集結し、更に大洗にまで長駆艦隊を乗り入れさせ、陸路でも大攻勢に移り……………その上で尚、“こちらが予測していた分の【大攻勢】をかけられる余剰戦力”がまだ尽きていなかったこと。最も大きな誤算は、そこです)

実行されている防衛作戦は、各鎮守府・各海域にこの鎮守府の龍驤、父島の扶桑、横須賀の日向といった超主力級の艦娘・艦隊で迎撃可能であることを前提としている。ではなぜそれら“要”を動かしてまで【学園艦棲姫】の対処に当たったか。

無論、「そうでもしなければ止められる相手ではなかったから」というのもある。
だがそれに加えて、人類側には「深海棲艦が【学園艦棲姫】を中軸に据えた一点突破攻勢に方針を“切り替えた”」という致命的な誤認があった。

日本という“艦娘大国”には、幾重にも張り巡らされた分厚く硬い盾がある。その全てを一撃で貫き得る太く鋭い槍を手に入れたが故に、その周りに本来放つつもりだった無数の矢を束ねたのだと思われていたが、違う。

矢もまた、既に番えられていた。巧妙に隠され、引き絞られていたそれらは、自衛隊が槍を止めるべく盾を動かしたその瞬間を狙い、一斉に放たれたのだ。

(極めて戦略的で、洗練された動きだ。……………とても、“開戦当初”と同一の集団とは思えないほどの)


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