エンド・オブ・ジャパンのようです
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141: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/01/27(金) 00:34:29.08 ID:sMuggt4e0
「あ、あの………小栗提督代理、大丈夫ですか?」

「ん………あぁ」

凄まじい勢いで戦況報告と艦娘や館内人員、妖精たちへの指示が飛び交う中で漏れ聞こえてくる暗く陰鬱な“噂話”。否が応でも耳に入ってきてしまうそれらに思わず眼鏡をずらし眉間を抑えていると、手元にスッと湯気を立てたお茶が差し出される。

顔を上げれば、心配そうな表情でこちらを覗き込みながら湯呑を差し出す艦娘───給糧艦・間宮の姿があった。

「え、えと。もしお気持ちが塞いでいるようであれば、一息つかれては?病は気からと申しますし、心労の状態ではそれこそ指揮に悪影響が出るやも………」

「……申し出自体は非常に有り難いのですが、その間戦闘指揮を空白にしてしまいますからね。八頭提督も石田一等陸尉もいない以上、私が離席するわけには」

「私がその間代理の指揮を取りますので!これでも元大日本帝国海軍の艦、従軍経験だってありますし!!」

「………………………………………。それは、お気遣いありがとうございます」

会話の「間」を利用して辛うじて平静を保ちつつ応えることができたものの、内心小栗は吹き出す一歩手前だった。

“艦時代”の彼女は従軍経験が確かにあるし、自衛のための武装も載せていた。艦歴だって決して短くはない。
だが、彼女の主任務はあくまで糧食の補給にあり、本格的な艦隊戦闘を目論んで設計されてはいない。そうした事情を反映してか現在世界各地の鎮守府で運用されている間宮(並びに同じく給糧艦の伊良湖)の中で、戦闘用の艤装に対して実用に足る適性を見せた艦は皆無だ。

眼前の間宮も例外ではない。料理の腕前は最精鋭と言って過言ではないが、戦闘経験は当然0。実は八頭に影から指示を出している隠れ軍師なんて裏の顔があるわけでもない。にも関わらず、彼女は真剣に小栗の代理を買って出ている。

それも自身が顔面蒼白で、語尾を震えさせながら。

それだけ自身が難しい顔をしていたのだろうと、思わず苦笑いが口元に浮かんだ。たまたまお茶を持ってきただけの戦闘は専門外の艦娘に、代理の艦隊指揮を決意させてしまうほどに。


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