132: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/01/26(木) 23:59:44.24 ID:+lVnpH3p0
接敵とほぼ同時に行われる、雲霞の如き航空戦力の大規模投入。
今や“朝の起き抜けに飲むホットコーヒー”と同レベルの、殆どルーティーンと化したそれはこの戦場でもしっかりと実行された。
『『『─────…………』』』
《Target insight. Shield-01 FOX-2!!》
《Shield-02, FOX-2!!》
数十キロ先で水平線の彼方より湧き出すようにして現れた、周囲を覆う闇夜とはまた質が違う“黒色”の塊。
聞き慣れた、聞き飽きたレシプロエンジン音を撒き散らしながら迫るそれを、F-16は真っ向から迎え撃ちミサイルを放つ。
『『『…………ッ!!!』』』
《Hit!! Enemy have damage!!》
《Keep Fire, Keep Fire!! Shield-01, FOX-2!!》
《Roger, Shield-02 FOX-2 FOX-2!!》
彼岸花の如く艶やかに咲き乱れる爆炎。だけど、F-16の攻撃はそこで終わらない。
もう2発ミサイルが叩き込まれ、更に多くの敵機が焼き払われる。抉じ開けられた穴に、敵の攻撃射程ギリギリまで踏み込み機銃掃射を深く深く突き刺す。
立て続けに発生した大きな損害で、“塊”が揺らいだと遠目にも解った。
《よし、崩したぞ!》
《Shieldチーム、帰還する!基地航空隊、後は頼んだ!!》
〈〈〈オマカセアレェエエ!!!〉〉〉
艦娘と“提督の資質”を持つ人間にしか、妖精さん自体の姿は見えず、声は聞こえない。
それでも、高らかに猛々しく打ち鳴らされる無線の「ト」連送は、きっと彼らのもとにも届いただろう。
〈トツレ、トツレ、トツレ!!!〉
〈〈〈アラホラサッサー!!〉〉〉
踵を返し戦場から離脱していくF-16とすれ違う形で、鎮守府から飛来する基地航空隊。零戦の21型と52型を主力とした上で、在日米軍からのレンドリースという形で直前に配備された“グラマン”を数個編隊交えた50機程が猛然と“塊”へ突っ込んでいく。
『『『!!?!!?!???』』』
〈ヨッシャア、イチバンヤリイタダキィ!!〉
〈ナンノ、ゲキツイオウハコンカイモオレダゼ!!〉
近現代の音速戦闘機とレシプロ機、比較的近い距離からの飛来とはいえ速度は雲泥の差だ。だけど今回は、その速度差が却って功を奏す。
深海棲艦の航空群が既に立て直しつつあった故にこそ。散開状態から再集結を終えていたからこそ、今一度攻勢に移らんと“塊”全体が前のめりになっていたからこそ、その出鼻を挫く強襲は強烈な効果を発揮する。
“塊”の表層を抉り、奥深くへと踏み込み、内部より食い破り引き裂く。瞬く間に再度四分五裂した敵機群を、零戦が、グラマンが、次々と喰らい屠っていく。
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