52: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:33:05.20 ID:Sev9O2YP0
「輝子!」
やがて一人の男が駆けつけてきた。プロデューサーだ。
「あ、し、親友……」
「輝子、お前……」
プロデューサーは小さく震えると、輝子に抱き着いた。
「よく、やってくれた……最高の、最高のライブだったぞ……」
幸子と小梅が、顔を赤くしてその様子を見ていた。
「フヒ、今日はよく、抱き着かれるな……」
輝子は気恥ずかしそうに照れ笑いをしていると、プロデューサーは我に返り、輝子を離した。
「す、すまない。でも本当によくやってくれた。というかおでこの傷は大丈夫か?急に打ち付けるから
思わず出ていきそうになったし…痕残らないよな?すぐ治療を、というか鼻血!ほらウェットティッシュあるから顔拭いて!!」
早口で捲し立てるプロデューサーを見て小梅が小さく話しかける。
「この人誰?」
「前の事務所にいた時のプロデューサー……というより、親友だな。今日のメタル曲の準備とかしてくれたんだ」
「ほう」
不意に冷たい声がした。
声の方を見ると、プロデューサーとは違う男が立っていた。
「マネージャー……」
三人のマネージャー。彼はプロデューサーを睨みつけ、苛立たしげに口を開いた。
「お前の仕業か、今日の騒動は。どう責任を取るつもりだ」
プロデューサーは彼を見て、静かに返した。
「どうも、マネージャーさん。輝子からお話はかねがね」
「はぁ?」
間の抜けた返しにマネージャーは青筋を深くした。
「今日のライブは決して大きいものではない。だが、しでかした事の大きさくらいは分かるだろう」
声色は抑えているが、今にも殴りかかりそうなほどの怒りが込められていた。
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