星輝子「真夏みたいに気持ち悪い」
1- 20
49: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:27:10.00 ID:Sev9O2YP0
「なあ、私の事は好きか?」

問うような口調だったが、返事を聞く前に彼女は語り続けた。

「言われた事があるんだ。お前は気持ち悪い、メタルは気持ち悪いって」

「でも、今なら思うよ」

ひと呼吸おき、彼女は口を開いた。

「ざまァーーみろ!!ってな!!」

不意に大きく叫び、観客が驚いたようにざわついた。

息を大きく吸い、客席に指をさす。

「そこのメガネ!そこのドクロTシャツ!お前またそのシャツか!!」

「お前も、お前もお前もお前も!!」

観客一人一人を睨み付けるように辺りを見回し、輝子は叫び続ける。

「そして、今日!!私を好きになったやつ!こんな気持ち悪い私を好きになった、救えねえぼっちども!!」

客席にいる、誰かが震えた。
独りぼっちだった誰かが震えた。
今日確かに心動かされた誰かが、彼女をただじっと見つめた。

「お前らと私の為に、叫んでやる!私が闘ってやる!この気持ち悪い私が!!」

「安心しろ!こんな気持ち悪い趣味、リア充は触らねえ!!誰も取らねえ!!」

「そして密かに笑ってやればいい。こんな気持ち悪いものの良さが分からないなんて、
なんて、可哀想なんだってな!!一緒に、バカ笑ってやろうぜ!!」

そう言うと彼女はゆっくり腰を上げ、客席に背を向けて歩き出す。

「今日はありがとう。ごめんな」

そう言いながら、彼女はステージを去った。
よろよろと歩く彼女の背に、観客の数に対して異常なほど少ない、だが、力強い拍手が送られた。
それは彼女の姿が消えても、ずっと鳴り止まなかった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
64Res/75.97 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice