33: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 14:02:22.13 ID:nm7zvJuf0
「わかったから私は、あなた達を二人きりにしてあげたのに」
確かに姉は徳川さんが誰かわからないうちから、彼女に弟の部屋に行ってみるように進めたりしてくれていた。
「え? あ、あれってそういう……」
「わかるわよ。私のファンだって言う割には、あなたばっかり見てるんだもの。私は口実で、うちに来た目的はあなただったのよ」
どうやら彼は、自分が思っているほどには女の子の気持ちを理解できてはいなかったようだ。
「大切にしてあげるのよ? なにしろ私の大事な仲間の妹さんでもあるんだから……ね」
「大切に……って、俺は別に」
言いよどむ彼を、姉はにこにこと笑って見ていた。
その目に、彼は素直になることにした。
そう、彼は――
「姉ちゃん、俺が言って聞くような人じゃないから……」
「え?」
「だから、言う通りにするよ……うん」
「なにそれ。もう、生意気を言うとお姉ちゃん怒るわよ」
高山家の姉弟も笑い合った。
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