12: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:47:49.86 ID:nm7zvJuf0
彼の姉は別段、気むずかしい女の子というわけではない。
しかし自身の容姿にあまり自信を持っておらず、だがアイドル志望ということもありファッションや雰囲気作りというものには敏感だ。
なるべく気づいてあげ、そして良いと思えばそう伝えるのが彼女を喜ばせる一番の方途なのだ。そして気づいて欲しい時に姉がどう接してくるのかを、彼はよくわかっている。
「じゃあね。高山君」
「え?」
今日は別段、徳田さんと何かを話したわけではない。
それなのに彼女はもう帰ると言う。
では彼女は、なにをしにやってきたのか?
それを不思議に思っての言葉だったが、徳田さんは嬉しそうに聞いてくる。
「どうかしたの? あ、私ともっとおしゃべりしたい? 一緒にいたいとか?」
彼女の言葉を否定はしない。
徳田さんは可愛いし、一緒にいるとその……確かに楽しい。
特に今みたいに嬉しそうにしている彼女としゃべるのは、彼にとっても嬉しいことだ。
だがそれよりも、彼女の今の行動がどういう意図からきているものなのかの方が彼には気になる。
そもそも徳田さんはなにをしに、今日もやってきたのか。
「今日は何か僕に用があるわけじゃないの?」
彼の言葉に、徳田さんは少し肩を落とす。
どうやら彼は、間違った答えをしたようだ。
だがそれでも徳田さんは、口を開く。
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