安価でSSを書かせて頂きます
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25:名無しNIPPER[saga]
2022/04/08(金) 21:46:05.71 ID:K7oSWg9M0
「なんだ……今の声は」
ふと低く男の声が鳴った。となりである。見ると、線の細い、中庸な男が床に手を付いていた。アイボリーのパーカー、ジーンズ、ウエストバッグを着ている。
「なんでしょうか」
とりあえず返事をしてみたら、思いのほか深刻な声がでた。のどがからからに乾いて、冷や汗が止まらない。自分でもそうとわかるのだから、傍から見れば相当なのではないか。とにかく、私は追い詰められていた。
この後、正しければ……
「見てきます」
男はそう言って立ち上がると、脇目もふらず歩いて行った。
私はそれを半ば茫然と見ているが、恐ろしくなって付いて行く。
男はETCバーを潜って外に出る。そして足を止めた。
私は男に並び立ち、同じ光景を見る。

大通りは荒廃していた。想像以上に揺れによる被害が大きい。舗装路は余すところなくひび割れており、ところどころは亀裂が深い。どこからか落ちたコンクリートが粉々になって散乱していて、それがかなり大きいので、もう車が通ることはできないだろう。遠くに漫画喫茶のアパートがあるのだが、そこにかけられていた看板が落ちて、クレーンは奇妙にねじ曲がった上、垂れており、見る影もない。

それすら霞む光景がある。
人が人を喰っていた。
大学生と思しき女性を、カーディガンを返り血に染めた大柄な男性が食べている。

どこかでけたたましいサイレン音が鳴った。




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