ダンテ「学園都市か」前時代史(仮)
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59:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:42:28.77 ID:XVB8s0iW0
とはいえ、最終的にはロキも同じ結末となった。
ただし彼は自ら選んだものだった。

人間たちが急速に発展し、知恵と力も蓄え、
混沌界を統べられる水準にまで成長したとき、ロキは隠遁を決意。
そして現実表層から離れ、虚無へと姿を消した。

これはロキ自身にもロプトと同じ矮小化をもたらすものだった。
「エーシル=ロキ」信仰は続いたとはいえ、
ロキとの接触が絶たれることで人間側の記憶が薄れ、
信仰も形骸化し、認識も希釈化するのは確実だったからである。

しかし、やはりロキは躊躇わなかった。
人間が自立さえしてくれたら、己が矮小化しようが構わなかった。
彼は愛する人間のために己の全てを捧げ、全てを託す覚悟だった。

こうしてロキが隠遁したことによって、
名実共に混沌界の支配権が人間に移ることとなった。
それゆえ、以後この世界は『人間界』と呼ばれるようになった。

エーシルもといロキ・ロプトでもなく、
その長子、「魂の苗床」を司る混沌の神々でもなく。
次子たる人間こそが、
この混沌界の存在証明たる『世界の目』を有するが故に。


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