138:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:23:55.71 ID:XVB8s0iW0
このジュベレウス案に天界主神派は大いに賛同したが、
もちろん賢者と魔女は猛烈な反感を示した。
「魂の苗床」がジュベレウスに接続されるということは事実上、
人間界の生命圏が丸ごと天界の影響下になるからである。
さらにジュベレウスは冬眠状態であったため、実質的な主導権は
ジュベレウス代理権限を有する主神派が握ることを意味していた。
これだけでも人間、特に魔女たちからは大反発を招くものだったが、
さらに主神派の思惑もまた火に油を注ぐこととなる。
そもそも主神派がこのジュベレウス代役案に同意したのは、
完全なる善意からくるものではなく
彼らの打算も含まれていたからである。
実は天界、もとい主神派からすれば、
この人間界の生命圏は金脈でもあった。
人間を糧としたクリフォトの樹があれだけの力を醸成し、
さらにその『果実』がムンドゥスをあそこまで飛躍させた以上、
人間界の絶大な利用価値は否定しようがない。
この世界に秘められている莫大な力、その潜在性は自明である。
そしてジュベレウスが眠りについてしまって以降
魔界に劣勢であり続けている天界にとって、
人間界はその劣勢を覆しうる力の源になり得たのである。
加えて人間界の生命活動を掌握することで、賢者や魔女に対する影響力も増大し、
ジュベレウス復活に必要な「世界の目」へ干渉できる機会も増す。
この人間界を救うはずのジュベレウス代役案は、
天界にとって長き苦境を打開する起死回生の一手にもなったのである。
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