佐藤和真「一応、父親だからな」
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4:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/01(火) 23:47:53.43 ID:zvI7aI9oO
「おーい」
「止まれ、何者だ!?」

大手を振って王城にかかる石橋を守る衛兵に声をかける父。完全に不審者であり、当然衛兵は警戒した。僕もジロジロ見られて怖い。

「見ない顔だな。しかもなんだその格好は」
「アイリスに佐藤和真が来たと伝えてくれ」
「サ、サトウ、カズマ……だと? まさか貴様が、いや……貴方様が、あの伝説の……?」
「ああ。クビになりたくないなら早くしろ」

衛兵の高圧的な態度にも動じず、父はまるで使いパシリのように指示した。何様なのか。

「アイリス陛下に会ったことあるの?」
「だからさっきアイリスは妹みたいなもんだって言っただろ。その証拠に、ほら……」
「えっ……?」

嘘だ。門が開いて、陛下が。アイリス様が小走りで。いや、全力疾走してこちらに向かって来られる。僕は慌てて、その場に跪いた。

「カズマ様!」
「ようアイリス。元気そうだな」
「はい! またお会い出来て嬉しいです!」
「突然来ちまって悪かったな。実は子供に駄々捏ねられてさ。ダクネス居るか?」
「ダスティネス卿は王都郊外で魔王軍の残党を懲らしめに出払っております」
「そうか。じゃあ、案内頼めるか?」
「はいっ! もちろんです、お兄様!」

空いた口が塞がらない。不敬とはわかっていながらも思わず顔を上げてしまった。父と話すアイリス様はたしかに妹のようで、お兄様とか言っていて、何がなんだかわからない。

「ああ、ごめんなさい。ひとりで立てる?」
「え? あ、はい……だ、大丈夫です」
「ふふっ。ダスティネス卿にそっくりね」

アイリス様の微笑みと、母上に似ていると言われたことの嬉しさが入り混じり、顔が熱かった。母上と同じポニーテールをもじもじ。


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