佐藤和真「一応、父親だからな」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/01(火) 23:45:17.40 ID:zvI7aI9oO
「はあ……」

ちっとも父親らしくない奴に頭を撫でられてちょっと嬉しくなってしまった自分に嫌気が差して、早く母上が帰ってこないかなと溜息を漏らすと見透かしたように。

「お母さんに会いたくなったか?」
「……別に」
「よし。じゃあ、会いに行くか」

そう言って、重い腰をあげた父は大人なので当然子供の僕より背が高くて、見上げながらその言葉の意味を確かめた。

「会いに、行くの……?」
「ああ。行きたいんだろ?」
「今から?」
「ちょうど暇だからな」

ちょうども何もいつも暇な癖に。まったく。

「わかった。支度してくる」
「別にそのままの格好でいいだろ」
「だめだよ! 王宮に行くんだよ!?」
「あんなとこ、大したことないぞ?」

大したことある。そもそも理解してるのか。

「王宮には女王陛下も住んでるんだよ!?」
「あーそういやちょっと前にアイリスが女王に即位したんだったな」
「アイリス・様! もしくは陛下!」

女王陛下を呼び捨てにする暴挙を窘めるも。

「アイリスは俺の妹みたいなもんだから」
「な、なに言ってんだよ!?」

やはりずっと家に閉じこもっていた父は世間とはズレているらしく、寝巻き姿のまま古ぼけたマントを羽織り、近所で暮らすいつもひとりぼっちの紅魔族のお姉さんにテレポートで王都に移動した。僕はもちろん着替えた。


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